泰葉はヤバい。が、もっとヤバいのは、実家の海老名家ではないかと私は思っています。
メンタルの病を経験したことのある娘が奇行を働き、経済的にだいぶ行き詰まっている。もし泰葉が警察のお世話にでもなれば、林家正蔵、三平という海老名家が抱える噺家も騒動に巻き込まれることは目に見えています。にも関わらず、ここまで知らんぷりを決め込むのは、本当に愛情がないんだなと感じてしまうのです。
海老名家への違和感
私が海老名家への違和感を持ったのは、あるテレビ番組がきっかけでした。『知ってるつもり?!』(日本テレビ系、2002年放送終了)という古い番組をご存知でしょうか。数人の芸能人がコメンテーターとなり、有名人の生涯を振り返るというものでしたが、この番組がグレース・ケリーを取り上げたことがあります。アカデミー主演女優賞を受賞し、モナコ公国のプリンス、レーニエ3世と結婚して引退するという華々しい経歴のグレースですが、実際の人生は苦渋に満ちていました。
グレースの父親はオリンピックのメダリストにして、一代で財を成した大実業家。子どもたちを自分と同じようにオリンピック選手にすることを夢見ますが、兄弟の中でグレースだけスポーツが苦手だったため、父親からの評価は低かったそうです。グレースがアカデミー賞を受賞した時も「何か成し遂げるとしたら、姉のほうだと思っていた」と答えるなど、頑としてグレースを評価しません。グレースは受賞の記念に実家に共演者を招いてパーティーをし、客を楽しませるためにおどけてみせますが、父親は「もうたくさんだ。家に帰ってきてまで芝居をすることはない」と叫んで、パーティーを台無しにしたそうです。
こういったエピソードに対し、芸能人のコメンテーターたちは「自分の思い通りにならないから気に入らない」「ほめてやればいいじゃないか」と父親を責めますが、その中でただ一人「父親の気持ちがわからないでもない」と発言したのが、泰葉の母、海老名香葉子(以下、カヨコ)です。「親の元に帰ってきたんだから、他の家族と同じようにすべきだ」と言っていましたが、これは「親の元では、親の望むとおりにしろ、そうでなければいらない」とも解釈できるのではないでしょうか。