西日本豪雨では避難のタイミングが遅すぎた
避難勧告、避難指示を住民に伝えるのも、自治体の判断だ。住民はそれに従い行動するが、今回の西日本豪雨でも、
「避難のタイミングが遅すぎます。それでは避難の途中で洪水にのみこまれてしまう。ちょっと早すぎるに越したことはないんですよ」
と前出・高橋教授。
岡山県真備地区では、2度にわたり避難が呼びかけられた。前出の倉敷市防災危機管理室担当者は、
「避難勧告は7月6日の22時です。次の避難指示ですが(のちに堤防が決壊する)小田川の南側が7月6日23時45分、北側が7月7日午前1時30分というところですね」
いずれも深夜から翌日未明にかけて。この対応には、前出・高橋教授はあきれる。
「避難は明るいうちに。夜中ではおじいさんやおばあさんは寝ていますよ。
真夜中に避難指示を出されても、停電になってしまえばそれこそ真っ暗、雨は土砂降り、どの道が通れるのかわからない。そんな状態で避難はできないですよ。
災害に巻き込まれた人は、今、自分たちが安全なところにいるか、危険なところにいるかわからないんです。テレビなどでは、気をつけて避難してください、などと呼びかけますが、現地の状況がわかっていないので、一般論しか言えないのです」
国土交通省は、全国に約66万か所にのぼる土砂災害警戒区域があるとみている。最多は、今回の豪雨被害を受けた広島県で約5万か所。国は2019年度末までに、都道府県に対し、危険箇所の基礎調査を終えるように求めている。 国や自治体任せではなく、その土地に住むならば“いざ”という時に逃げることのできる経路と安全な避難場所を見つけておくことは必須だ。