日常の中で幸せを見いだすセンスもずば抜けている。
「センスいい人って、ささやかな幸せを見つける名人。例えば、テーブルにシミがあるとするでしょう? おそうじをしてそのシミがなくなったら幸せ! こんな小さなことでもいいの」
そして幸せの見つけ方は、人それぞれ。
「誰かが見つけてくれるものではなく、自分で発見して、パッとつかまえる。これがコツなの。人からもらおうとしてもダメ。うまく見つかるとうれしいわよ」
自分で自分を幸せにする技を習得したら、人をうらんだり妬んだりすることがなくなり、コミュニケーション能力も高まると田村さんは言う。
同じことを繰り返す毎日のなかにも、幸せは潜んでいる。日の出とともに起きて、夕方5時には仕事終了。
「アフター5はひとりでキューッと1杯やるんです。“よく働きますね~、まあまあ1杯飲んで……”なんて感じで」
夜は、暗くなるとベッドに入って就寝。
「サッカーなどの中継があるときはどうしても夜中まで見ちゃいますね。スポーツ観戦が私の唯一の運動ですから。スポーツを見ていると運動した気になって、筋肉が喜ぶのよ」
こうした小さな幸せが積み重なって、充実した幸せにつながっていくのではないか、と考えている。
「自分の足で立っていれば、孤独を誰かのせいにすることはありません。心の中で“スタンド・アローン”するのです。孤独はあなたを強くするためのギフト。ほろ苦いけど、よく効くお薬って感じ。死ぬまで孤独を楽しみましょう!」
<プロフィール>
たむら・せつこ ◎イラストレーター、エッセイスト。'50年代後半よりイラストレーターとして仕事を始める。'60年代より少女漫画雑誌『なかよし』『りぼん』で活躍。サンリオ発行『いちご新聞』でのエッセイは創刊の1975年から現在も続く。『おちゃめな老後』『すてきなおばあさんのスタイルブック』『カワイイおばあさんの「ひらめきノート」』など著書多数。