この面白さを誰かに伝えたい!
ツイッターなどSNSに投稿した漫画やイラストがバズって人気を獲得した、いわば「SNS発インディーズキャラクター」は『タヌキとキツネ』だけではない。
キューライス氏が描く『ネコノヒー』はいろいろなことに挑戦しながら失敗ばかりしてしまう残念な猫で、ファンから「可愛い」「わかる」「あるある」と言った声が集まっている。るるてあ氏の描く『コウペンちゃん』は「生きててえらい…!」「いつもがんばってるの見てるよ」など、毎日を生きる人の全てを肯定して褒めてくれる優しいペンギンで、励まされる人が続出。他にもカメントツ氏の『こぐまのケーキ屋さん』や帆氏の『クマとたぬき』など数多く、作品は書籍化され、いずれもヒットしている。
『ネコノヒー』をはじめ『スキウサギ』『チベットスナギツネの砂岡さん』など人気キャラクターの作者の漫画家・キューライス氏にSNSでバズったきっかけを聞くと、
「一番最初に話題になったのは、ネコノヒーの4コマ漫画でした。誰にしもありそうな不幸、共感を呼ぶシチュエーションが人気になったきっかけだったように思います」と振り返る。
この面白さを誰かに伝えたい! という気持ちがSNSで拡散を促す。「良いものや好きなものをすぐに誰かと共有できるので、その作品を知らなかった人にまで届けられることがSNSの強みです」と前出の『タヌキとキツネ』担当編集者は言う。
SNSが個人的なツールだからこそ、ユーザーと一対一の関係で広まっていく。SNS発のキャラクターは、日々、タイムラインで投稿を目にすることで親しみや愛着がどんどん湧いてくるのも特徴だ。気づけば書籍化、グッズ化、企業とのコラボなど、メジャーな人気キャラクターに肉薄する存在になりつつある。
SNS発キャラグッズを扱うロフトPOP UP STOREの仕掛け人で、人気キャラクターの発掘も行う株式会社ロフトの小倉淳也さんによれば、
「SNS発キャラは今や、ロフトのバラエティ雑貨の中でも核になる商品になっています。購買層は20代〜30代の女性が中心で、化粧ポーチやステーショナリーが売れ筋です。表に出して誰かに見せるのではなく、カバンの中に入れて自分だけで楽しむ感じですね。日常の癒しになっているのだと思います」