資金源を断たれて体操ができなくなる
「宮川選手はスポンサー契約していた『株式会社レインボー』という会社との関係が悪化していました。その裏にも、千恵子氏が関係していると言われています。スポンサーを引きはがすことで、彼女とコーチを孤立させようと画策したのではないか、と」(体操関係者)
そんな噂が出てくるのは、過去に似たようなケースが繰り返されていたからだ。
「塚原夫妻が選手に“うちに来たほうがうまくなる”“あのコーチはダメ”と声をかけて勧誘する手口は有名です。小さい体操クラブが育ててきたジュニアの選手が日本代表になると『朝日生命』所属になってしまう。
選手の引き抜きはご法度なんですが、彼らのやり口はとても狡猾なんです。5年前にも、今回とそっくりな例があります。『羽衣体操クラブ』で指導していた井岡淑子コーチが女子選手2人に暴行したとして、傷害容疑で書類送検されました。
すると彼女が指導していた同クラブ所属の杉原愛子選手は、朝日生命に引き取られるという形で移籍しています。コーチの不祥事に便乗して引き抜きをするやり口ですね」(スポーツジム関係者)
露骨な引き抜き工作から大騒動に発展したことも。'91年に開催された全日本選手権では、女子選手を含む'91人中55人が出場をボイコットした。
「当時、体操界を牛耳っていた“塚原帝国”に対する抗議でした。実力のある選手の引き抜きが続き、世界選手権の代表7人中3人が朝日生命所属の選手でしたから。
朝日生命の選手の採点を優遇したりして、本当にやりたい放題だったんです。夫の光男氏は責任を問われて競技委員長を辞職しています。
この一件であまり強引な引き抜きはできなくなり、最近は朝日生命の日本代表選手が減少。今回は焦って荒っぽいやり方をしてボロが出てしまったんじゃないかな」(前出・体操関係者)
“贈り物は厳禁”が習慣化?
「光男氏は日本体操協会の副会長で、夫婦で要職を務めています。光男氏は'68年のメキシコ五輪から3大会連続で金メダルを獲得した体操界のレジェンド。
千恵子氏もメキシコ五輪に出場し、息子の直也氏はアテネ五輪金メダリストという体操一家です。体操界への貢献度が高かったのは確かでしょう。朝日生命は名門と言われ、夫妻は指導者として多くのオリンピック選手も輩出しているので、体操界への影響力は絶大。特に千恵子氏は女子体操界では“女帝”的存在ですね」(前出・スポーツ紙記者)
選手としての実績があり、指導者としても力を発揮してきたわけだが、尊大な振る舞いに眉をひそめる関係者も多いという。