金銭感覚がピタリと合った2人

 こんなカップルもいました。

 4月に成婚退会した山本さん(42歳、仮名)と佳恵さん(34歳、仮名)のカップルは、金銭感覚がピタリと合っていました。

 山本さんが佳恵さんに、「プロポーズした」と報告を受けた時に、「婚約指輪はすでに用意していたの?」と聞くと、こんな返事が返ってきました。

「彼女は、『ダイヤの指輪はしないからいらない』と言っていたので、プロポーズの時は、ちょっと値のはるレストランで食事をしました。結婚指輪はそのうち2人で買いに行こうと思っています」

 婚約指輪に関しては、女性によって思い入れが違います。値段には関係なく記念だから欲しい思う人、憧れのブランドがあってそこの指輪が欲しいと言う人、佳恵さんのように、いただいてもしないからいらないと言う人。

 佳恵さんは、“無駄なものには、お金を使わない”主義。そこが、山本さんと合致していました。

 そして、山本さんは貯金を2000万円、佳恵さんは1000万円持っていると言うのです。山本さんは、前出の吉本さんのように、退職金プラス貯金ではなく、大学を卒業後に、給料から捻出して貯めた金額です。

 「ずいぶん貯めたのね」と私が言うと、山本さんは、平然と言いました。

「だって20年働いているんですよ。毎年100万円ずつ貯めたら、こうなるでしょう」

 2人は今、新居を分譲マンションにしようか、戸建てにしようかと相談しています。

 これまでたくさんのカップルを見てきましたが、結婚の具体的な話が進んで行く過程で、たいていお金の問題にぶつかります。

 女性は、「男性が食事代を出してくれた」「出してくれなかった」「デート代がいつも割り勘」「6、4の女子割りデートをする男はセコイ」などと、お付き合いをしている時の、表面的な金銭のやり取りを話題にします。

 しかしながら、気前がよくて見栄っ張りな男性ほど貯金がなかったり、ケチな男性ほど貯金を持っていたりすることがあります。

 ただ、人のためにお金が使えるのは生きたお金の使い方ですよね。お金の使い方に人となりが出るというのも、一理あります。

 そして、結婚は恋愛とは違います。日々の生活をともにするのですから、お互いの金銭感覚が合致するか、また、貯金や借金などをどう捉えているかは、相性と同じくらい大切なことなのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/