1年間で1億円近くを盗んでいた
逮捕容疑の日時、西容疑者はJAの支店裏口で、母親から現金を受け取っていた。
「1年間かけて9633万円盗んだということですね。今回の逮捕事案となった700万円は最も明らかな証拠があった入り口にすぎない。残りの約9000万円はこれから再逮捕なり、追送致なりしていくことになると思います」
と捜査関係者。共犯関係については
「息子のことを溺愛しているような母親ですね。だから息子から言われることはしかたない……みたいなところがあったようです。金を無心されて、息子のためだと思って盗ってしまったって感じですね」
とみている。息子が母親に暴力をふるったり、母親に金を盗ってこいと脅していた形跡はなく、見えてくるのは息子を溺愛する母親が犯罪に手を染めたという愚かな関係。
その結果「勤続35年でした」(JAとうかつ中央担当者)と長く務めた職場を6月29日付で懲戒解雇になり、すべてを失った。にもかかわらず息子への甘さは以前のままで、事件発覚後の9月6日、母親は、家を出て暮らし始めていた息子のもとを訪ね、
《弘樹へ 大丈夫ですか? 掃除をしに来たんだけど留守なので帰ります。連絡して下さい。まってます。お母さんより》
というメモを残している。
容疑者一家は父親と逮捕された母親、長男と逮捕された次男の4人家族。両親が共働きでした、という近隣の女性住民は、
「親子でケンカしているのは聞いたことがないです。むしろ家族仲よくテレビを見て、談笑している声は聞いたことがあるので、家族仲がいいんだなと感じていました」
と証言する。
ウソだらけの人生
西容疑者は本来であれば今年3月に大学を卒業する予定だったが、単位未取得で退学。もともと、周囲には大学生だと身分を明かすことはなかったという。周辺との人間関係もウソで塗り固めた、実に薄っぺらい関係性で、
「本当にあいつ、飲みに行くのが好き。でも1人でいるのが嫌いなやつだから、基本1人で飲みに行かないし。3万円あげるから飲みに付き合ってよとか言ってくるんですよ」
と前出の知人男性。母親から700万円を受け取った翌週6月22日にひとり暮らしの自宅でJAの帯封がついた100万円の札束でピラミッドタワーを作っていたという。