以前、私が感心した“選ばれる努力”をしていた女性の話をしますね。

 すでに成婚退会した男性、江本裕紀さん(42歳、仮名)の奥様になった女性です。

 婚活中だった裕紀さんは、36歳、 38歳、41歳の3人の女性とお見合いをし、3人と交際に入っていました。

 この中で、最終的に妻に選んだのが、41歳の藤井美菜子さん(仮名)でした。男性は、女性の年齢が1歳でも若く、見た目が綺麗で華やかな人が好き。

 36歳の女性は可愛い系、38歳の女性は美人系、そこにいくと41歳の美菜子さんは、3人の中では年齢も1番上だったし、見た目も地味でした。

 それなのに、なぜ裕紀さんが美菜子さんを選んだのか。それは、彼女が一番“選ばれる努力”をしたからです。

 食事を終えて会計の段になり、裕紀さんが、「ここは大丈夫ですよ」というと、36歳、38歳の女性は、「ごちそうさまでした」と笑顔を作ってお礼を言ったそうです。

 ところが、美菜子さんだけは毎回、「少し取ってください」と、合計金額の半額に近い千円札を手渡してくれた。

 ある時、ふっと美菜子さんのお財布を見たら、千円札がたくさん入っていたそうです。美菜子さんは、裕紀さんに負担をかけないように毎回デートの前には1万円札を両替してきていた。そうした細やかな気遣いに心を打たれたようです。

 また、仕事の繁忙期に、「今、残業続きで大変です」という話をメールをし、その直後にデートをしたら、36歳、38歳の女性たちは、「大変ですね。頑張ってください」と優しい言葉をかけてくれた。 

 一方、美菜子さんは、「そんなに忙しい時に、私と会う時間を作ってくださってありがとうございます。このアロマオイルで、こうやってハンドマッサージをすると、疲れが取れるんですよ」と言って、お土産にアロマオイルを持ってきて、その場で裕紀さんの手をハンドマッサージしてくれた。それが本当に気持ちよかったと言うのです。

 綺麗に着飾ること。洗練された仕草で品良くお食事をいただくこと。聞き上手になって相手の話に共感し、笑顔で会話をすること。それらは確かに婚活をしていく上では大切なことです。

 ですが、もう一歩進んだ、相手を思いやる能動的な努力をしてみる。それがお相手から“選ばれること”につながるのです。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/