「小学生くらいから自分自身はまったく変わっていなくて。昔からなんでも開けてみたくなったり、“進入禁止”って書いてあったら入ってみたくなっちゃうような性格なんです(笑)」
映画『あいあい傘』で、小さな田舎町で主人公の父娘の再会に力を貸すテキ屋・雨宮清太郎を演じる市原隼人(31)。人を疑うことを知らずにまっすぐで、情に厚く、太陽のような存在の清太郎という役を、
「裏表がなく、生まれたままの姿、器用にこなす術を身につける前の人間として表現したいなと。なので、撮影でも10代の気持ちで、とにかく少年のように動きまくりました」
そんなキャラクターは、市原自身にもよく似ていると話す。
「僕も小さいころから、地域の人々の温かさに囲まれながら育ってきたんです。夕ごはんを作りすぎたらお隣さんに配ったり、何か材料が足りなかったら“ちょっと貸してくれませんか?”ってご近所に聞いたり。日本の懐かしい古きよき文化が、清太郎からも、この映画全体からも感じられると思います」
人の温かさの中で育ったからこそ“昭和”に対する思いも強い。
「今はSNSやインターネットも普及していて便利だけど、だからこそ窮屈に感じる部分もあって。昭和はネットで得た他人からの知識ではなく、自分の経験値で物事をとらえていたり、自分の思いをきちんと伝えたい人には直接会って、自分の言葉で届けていたり。今ほど規則も厳しくなく、表現の自由もあった、そんな時代を生きてみたかったなって思うんです」
撮影中にまさかのハプニング発生!?
「クランクインして最初のシーンで、ハチに刺されてしまって。でもカメラは回り続けていたので、なんとか演技をしていたら、どうやら(主演の倉科)カナちゃんは、僕がハチに刺されたアドリブをやっているのかと思ったみたい。なので作中よく見ると、僕の手がクリームパンみたいに腫れているシーンがあるかもしれません(笑)」
<作品情報>
『あいあい傘』
10月26日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー