経済効果23億円!
山田さんによれば、近年、警察や学校、病院などのシーンを撮影できる場所が枯渇し、制作者は頭を悩ませているという。そうした状況下で最近、引く手あまたの人気ロケ地となっているのが、千葉県いすみ市だ。
きっかけは、'15年放送のドラマ『孤独のグルメ Season5』。実在する店の絶品メニューを取り上げる作品で、JR大原駅そばにある「源氏食堂」のメニューが登場すると、翌日には店の外に行列が!
騒ぎを知った市役所が対応したことから、ロケ地となれば町のPRにつながると気づき、翌年には市を挙げてロケ受け入れチームを組み、誘致やサポートに力を入れ始めたという。
「廃校や撮影可能な病院などがあって、今年9月までで出演本数66本、経済効果23億円と、かなりのスピードで実績を上げています」
映画『昼顔』では地元の漁協も協力、大原漁港で大勢のエキストラを動員し、夏祭りのシーンを撮影した。また、今年のカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『万引き家族』では、大原海水浴場が海辺での印象的なシーンの舞台に。ファンの巡礼先として、今後も期待できそうだ。
イケメンが訪れまくり!?
さらには「イケメンが集まるまち」のキャッチフレーズで知られる聖地もある。ロケ地としてPRを展開、ブレイク中というのが神奈川県綾瀬市。市の担当者いわく、駅がなくて知名度も低く、高座豚というブランド肉も売れない。
'20年に高速道路のインターができても素通り……、そんな悲壮感をもって始めたロケ地の誘致だったが、その取り組みは奏功しているよう。撮影に使われた作品は、ドラマ『コウノドリ』の綾野剛や小栗旬、『HiGH&LOW』の岩田剛典、『銭の戦争』の草なぎ剛をはじめ、伊藤英明や竹野内豊、渡部篤郎などイケメンのオンパレード!
「さすが自治体が率先しているだけあって、市役所が最も撮影が多いロケ地。『コウノドリ』では、病院の屋上や中庭のシーンを撮影しています」
ユニークなのが、高座豚を使った豚すきのメンチカツを、必ず撮影隊に差し入れて宣伝していること。イケメンたちも食べている可能性大なので覚えておこう。
ひとくくりに“聖地”といっても町によって雰囲気や受け入れ態勢はそれぞれ異なる。なにより大切なのは、そこで生活している住民に迷惑をかけないこと。心配りしながら、さあ、聖地巡りを楽しもう。