「急な話で申し訳ないのですが、明日の19時でお願いできないでしょうか?」

 指定されたのは、土日ではなくウィークデー、仕事を終えてのお見合いでした。あまりにも突然でしたが、清貴さんに連絡すると、「明日の夜なら大丈夫です」とのことでしたので、急遽その時間でお見合いが決まりました。 

 翌日、お見合いを終えた清貴さんから、連絡がきました。

「楽しくお見合いできたので、交際希望でお願いします」

 お相手からも“交際希望”がきて、2人の交際がスタートしました。

 ところが、2回目のデートを終えた後、清貴さんから「麻実さんとの交際は終了にしてください」と連絡が入りました。

 終了理由が、こうでした。

金銭感覚があまりにも違いすぎます。『指輪を買うなら、カルティエ、ブルガリ、ハリーウィンストンのいずれかのブランド、住むなら東京23区、結婚したら年に2回は海外旅行をしたい』と言うんです。

 僕は、一般的なサラリーマンですし、まったくブランドには興味がない。住む場所や年2回の海外旅行など、僕の給料では彼女の希望を叶えてあげられません」

 ブランドにこだわるのは個人の自由です。

 ですが、彼女にそうしたブランド生活を手に入れる経済力があるかといえば、彼女はごく普通のOLさん。

 さらに大学を卒業してから一度も一人暮らしをしたことなく、自宅から仕事に通い、14年間も働いてきたというのに、貯金が全くないというのです。

 清貴さんの年収は700万円。同年代の男性と比べたら良いほうです。また貯金も堅実にしています。それでも女性側にこれだけの条件を出されてしまうと、腰が引けてしまう。

 自分の力では買えない。ならば、男性に買ってもらう。最初からそんな依存心の強い結婚を望んでも、それを受け止めてくれる男性はいない気がするのです。

 しかも女性は、もうじき38歳です。その年の女性が貯金0円というのもいかがなものでしょうか。