「後輩を育てて」と安室が切望

 ラブジャンクスの活動に専念し、芸能の仕事から離れていたころ、デビュー15周年を迎えた安室と再会し、「デビュー当時は苦しかったけど、あれだけのことがやれたんだから頑張れるというベースになりました。アンナさんの教えがあったから、何があっても踏みとどまれた。今の子たちのそこを育ててほしい」と頼まれた。

「私はもう芸能人を育てる現場には戻りたくないと思っていたんですが、奈美恵に自分の経験がよかったと言われたことがうれしくて、またやってみる気になりました」

 安室の事務所の後輩たちのレッスンを見るようになり、やがてAKB48などの活動につながっていく。

 そんな芸能とラブジャンクスの両方の活動をマネージメントしているのが『株式会社バッシライン』代表の松川直也さん(41)だ。松川さんはラブジャンクスの拠点の立ち上げやCD制作など、アンナさんのアイデアをかたちにするサポートも担う。

「CDをつくったとき、周りからはダウン症の子が歌うなんて無理だと言われたんです。牧野は否定されればされるほど燃えると話していましたね。前例がないからやる意味があるんだと。

 彼女は芸能の仕事も全部ラブジャンクスに返ってくると信じてやっています。『世界ダウン症の日』のイベントにISSAや三浦大知らが無償で出演してくれるのもそうした信用があってのことです。2人とも教え子ですしね」

 実は、松川さんとアンナさんは元夫婦なのだが、2年前に“お互いが心地よい状態でいられるよう”結婚を解消した。

「一緒に住んでないだけで、娘のさり(6)と3人で旅行も行きますし、僕は家族だと思っていますよ」

 アンナさんは松川さんとともに、さりさんが本当にやりたいと思うことを実現する応援をしたいと話す。

「私自身、今やりたいことがやれているのは、松川や私が仕事のときに家を守ってくれて、つらいときもずっと励まし続けてくれた母のおかげなんです。私も娘に対してそうありたいと思っています」