耳を疑う父親の言葉
新任のプレッシャーからストレスがたまっている様子もなく、同僚教師とのコミュニケーションもとれていたという。
私生活はどうだったのか。勤務先の小学校から車で約10分の自宅を訪ねると、冒頭のように容疑者の祖母と父親が取材に応じ、謝罪を口にした。
「10月23日に自宅に警察が来て、いきなり連れていかれたきり、息子と会っていないんです。面会できるのか、どこへ行ったらいいのかさえわからない。われわれ家族も、本人と1度も話していないので、正直言って、何がなんだか、さっぱりわからない状態なんです」
と容疑者の父親は話す。
しかし、続けて、
「容疑を認める供述をしていると報道されていますから、被害児童には本当に申し訳ない。若い世代なのでスマホゲームにのめり込むうちに魔が差したのかもしれませんが、やってはいけないこと。教師失格で、魔が差したで許されることではありませんよね」
と、がっくりうなだれた。
実家で祖母と両親との4人暮らし。弟は独立生計を立てており、取材時に母親は留守だった。父親によると、大学入学時には教師の道を志すと決めていたようだという。
「親から見ても、昔から素直で、まじめで、おとなしくて、やさしい子なんですね。だから、実家に戻ってきてくれてうれしかった。朝早く出かけ、ときには夜中の1~2時まで帰ってこない日もあったので、頑張っているな、一生懸命にやっているなと喜んでいたところなんです」(父親)
家族の前で仕事のグチをこぼすことは1回もなかったという。
実家周辺での評判もいい。中学・高校時代は柔道に打ち込み、県内で上位の成績を収める有名人だった。近所の主婦は、
「丸刈りで“おはようございます!”とハキハキと挨拶する、とてもいいお子さんでしたよ」
と話す。
女性関係や性癖はどうか。父親は、
「高校時代に1度、彼女を家に連れて来たことはあります。事件が起きたあと、兄弟仲のいい次男に、長男(泰輝容疑者)がロリコンかどうか聞いたら、“アニキはロリコンじゃないよ”と言っていました。
実際どうかまではわかりませんが、そんな素振りはなかったし、ロリコンとは信じられなくて。親子関係も良好で、長男はいまでも私と一緒に風呂に入っているぐらいですからね」と驚きのエピソードを明かした。
いくら仲がいいとはいえ、成人後まで父親と入浴する男性はそういないだろう。犯行との因果関係は別として、あるいは、どこか大人になりきれていない部分があったのかもしれない。