見せたくない嫌な部分も丸裸に
─成河さんが“私”、福士さんが“彼”を演じますが、役柄についてはどうとらえていますか?
福士 まあ弱い人間だなと思いつつ、彼も私も子どもみたいですよね。ふたりは表裏一体なキャラクターだというのが僕のなかではあって。似ていないようだけど根本は似ている気がします。依存してるんですよね。
成河 お互いにお互いしかいなかっただろうからね。パワーバランスなんですよ。私は彼によって姿を変えるだろうし、彼も私によって姿を変えるだろうし、言い方も立ち居振る舞いも変えるだろうし。それは稽古レベル、演技レベルでもそうですし。稽古が楽しみでしょうがない。
─演じるうえで大切にしたいと思うことは?
成河 この作品に関しては、人間が丸裸になっていくような部分があるので、僕ら自身も見せたくない嫌な部分も丸裸にしていかなきゃいけないときに、これまで生きてきた人生を見つめなきゃいけない部分って出てくるんだろうなということはすごく思う。
福士 彼は強気なセリフがあるんですけど、セリフは強気なのに顔は弱気なのも面白いかなって。SとMでいったら、私が弱気なSで彼が強気なMみたいな感じもあるので(笑)。
成河 アハハハハ!
─ラブシーンのようなシーンもありますが?
成河 今作はある意味ずっとラブシーンだと思いますからね。
福士 放火もなくて、人も殺さなかったら、いちゃいちゃしているだけだからね(笑)。
─成河×福士ペアとしてはどんな私と彼を見せたい?
成河 僕らは駆け引きの部分、見えるか見えないかギリギリのところで見せていきたい。それが今回は狭い劇場だからできるんですよね。お客さんをそこでハラハラさせたいし。
福士 いわゆるエンターテイメント作品じゃないので思索する部分を与えたい。
成河 わかりづらくしたいね。どっちなんだろうとか。
福士 観終わった後に、私と彼の関係性について、討論してほしいです。
監獄の仮釈放審議委員会。34年前、私(成河/松下洸平Wキャスト)と彼(福士誠治/柿澤勇人Wキャスト)が起こした犯罪について、収監者“私”の5回目の審議が進行中である。19歳の“私”と“彼”に一体何が起きたのか。衝撃の真実が明かされていく。1920年代に全米を震撼させた少年誘拐事件を基にした究極の心理劇。
東京公演:2018年12月14日~2019年1月14日@東京芸術劇場 シアターウエスト/大阪公演:2019年1月19日~20日@サンケイホールブリーゼ/名古屋公演:2019年1月25日@名古屋市芸術創造センター
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PROFILE
そんは◎1981年3月26日、東京都出身。大学時代より演劇を始める。以降、舞台を中心に活動。主な舞台作品は、『BLUE/ORENGE』『春琴』ミュージカル『エリザベート』劇団☆新感線『髑髏城の七人 Season花』『人間風車』など。現在、映画『ムタフカズ』公開中。映画『チワワちゃん』が'19年1月18日公開。
ふくし・せいじ◎1983年6月3日、神奈川県出身。2002年、俳優デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。主な舞台作品は、ミュージカル『RENT』スーパー歌舞伎II『ワンピース』劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』など。現在、NHK土曜ドラマ『ぬけまいる~女三人伊勢参り』(NHK総合・土曜18時5分~)出演中。
(取材・文/井ノ口裕子)