寒い冬に起こりやすい
憂うつや倦怠感の正体とは
秋になるともの悲しい気分になったり、冬は運動や外出がおっくうになる……という感覚は、誰しも1度は感じたことがあるはず。しかし、それが数週間も続くなら身体的要因があるのかも!?
「近年、10月、11月あたりから気分の落ち込みや倦怠(けんたい)感などのうつ症状が現れ、3月になると回復するというサイクルを持つうつがあることがわかってきて、それを冬季うつ病や季節性感情障害といいます」と奥田先生。その主な原因は、日照時間の減少と体内時計の乱れ。
「日照時間が短くなるとセロトニンが分泌されにくくなることや、体内時計がうまく作動しなくなることで起こるといわれています。また特徴としては、一般的なうつは食欲が落ちて眠れなくなるのに対し、冬うつは逆に睡眠時間が長くなって朝起きられなかったり、食欲が非常に亢進して炭水化物が欲しくなるという症状があります」
ただし、病院での治療が必要なのは、こうした症状が2週間以上続き、日常生活に支障が出る場合。
「生き物にとって冬は冬眠の時期であるため、春夏のようにエネルギッシュに物事に取り組めなくなる傾向はどの人にもあります」
つまり、憂うつだけど仕事や家事はそれなりにこなし、外出も人付き合いもできているなら深刻にとらえる必要はないそう。
「さらに季節性感情障害の大きな特徴といえるのが、気分が落ちる明らかな原因がないこと。たまたま冬に嫌なことやトラブルがあって滅入るのではなく、何も原因がないのに気分が落ち込む。しかも1回だけでなく、冬のたびに起こる、というようにサイクル化するのも特徴です」
季節や日照時間がこんなにも心身に影響を及ぼすのは意外だけれど、環境や生活リズムの調整により予防やある程度の改善は可能なので、冬との上手な付き合い方を工夫していきたい。
冬うつ2大原因
日照不足
十分な日光を浴びることができないと、気分の安定を司るホルモン・セロトニンの分泌量が減り、落ち込みなどの症状が起こる。それゆえ、季節性感情障害は緯度が高く極端に日照時間が少ない北欧や日本では北陸や東北地方に多い。
運動不足
冬は気分がふさぎこむだけでなく身体を動かすことも面倒になるため、家にこもりがちに。すると、ますます太陽の光を浴びる機会が減り、運動不足からホルモン分泌や体内時計の働きが低下するなど、悪循環に陥ることに。
・ぐったりとして倦怠感がある
・何に対しても興味や喜びを感じない
・気力がなく外出できない
・ちょっとしたことでイライラする
・集中力が低下し、今までできていた仕事や家事がスムーズにこなせない
・朝起きられない
・気分が落ち込み、何も手につかない
・10~11月ごろから急激に食欲がアップし、特に炭水化物の欲求が強い
・人間関係や仕事など、特定の理由がないのに気持ちが晴れない
・毎年冬になると心身に不調が現れる
上記の症状が2週間以上続く場合は、季節性感情障害やうつ病の可能性があるので、心療内科などの医療機関で受診を。一方、症状があっても断続的で日常生活に支障がなければ深刻にとらえる必要はナシ。次から紹介する対策を試してみて。