「デートの帰り道、イルミネーションがきれいな通りを二人で歩いて、駅まで向かったんです。私が、『わぁ、きれい〜』って言ったら、『瑞穂さんが隣にいると、イルミネーションの美しさもかすみます』って言われて、まずはその言葉にドン引き。そしたら手を握ってきたんですね。

 大村さんの手の感触が伝わってきた時に、背中がブルッとなった。悪寒が走るっていうんですか? あ、私はこの人のことを生理的に受け付けないと思ったんです」

 いい人なのはわかっている。結婚したら安定した生活を送れる。浮気はしない。貯金もある。でも理屈ではなく、生理的に受け付けない。これはもうどうにもならないことですよね。

 好きな人にされたら嬉しいのに、好きでもない人にされると、気持ちがなえてしまう。なえるどころか嫌悪する。そこが男と女の関係の難しいところです。

デートに花束を持って現れた

 こんな例もあります。

 安住里江さん(33歳、仮名)は、吉川直也さん(38歳、仮名)とお見合いをしました。里江さんは小顔で目がクリッとしていて、男性ウケするアイドル系の顔立ち。吉川さんは、ひと目見て、里江さんを気に入ってしまったようです。

 お見合い後、二人は交際になりました。

 すると連絡先を交換する際に、吉川さんの相談室の通信欄に、お仲人さんよりこんなメッセージが書かれていました。

「吉川は、安住様を大変気に入ったようです。真面目一筋の不器用な男ですが、誠実さでは誰にも負けません。仕事も一生懸命やりますし、会社も安定しております。良きご縁に育つよう、吉川にはしっかりと頑張らせます」

 吉川さんは里江さんに、一目ぼれしてしまったようでした。

 二人は交際に入り、まずは週末の夜に初めての食事に行きました。吉川さんは創作和食のお店に連れて行ってくださり、そこの食事代もその後のお茶代も、すべてご馳走してくださいました。2万円近い散財でした。

 そこで、次のデートの時には、前回の食事のお礼にと里江さんがクッキーを持っていきました。吉川さんは、それに大感激した様子でした。

 そして、3度目のデートとなりました。待ち合わせ場所に里江さんが行くと、吉川さんは、大きな花束を持って待っていたのです。

 里江さんは、私に言いました。

「女性は花をもらうと嬉しいといいますけど、デートの前に渡されたら、その日、それを持って歩かないといけないですよね。荷物になる。もちろん渡された花束は、吉川さんが、『僕が持ちますね』と持ってくださった。でも、花束を持って歩いているカップルって、周りからはラブラブな恋人同士に見える。

 一緒に歩いて食事する店に向かう道すがら、 “まだそんな関係じゃないのに、周りからそんなふうに見られたら嫌だな”って思っている自分がいたんです」