街から消える地銀・残る地銀
メガバンクでさえ店舗数やATMを減らす経営状況のなか、さらに厳しさを増しているのが地方銀行だ。前出の加谷さんが解説してくれた。
「事態はかなり深刻で、地方銀行の数は、あと10年ぐらいで半減するのではと言われています。これはIMF(国際通貨基金)も指摘していて、'17年に発表した日本経済に関するレポートでは、“低金利と人口減少が地銀や信金の経営のリスクになっている、このままだと破綻するところが続出する”と警告しています」
今後、自分が住んでいる地域の地銀が吸収される側にならないか、経営状態が気になるところ。
「総資産に対し融資などの本業で得た“業務純益率”が全国平均の0・3%を超えているかどうかがポイント。経営状態を測る目安になります」
特に危ない地銀はどこか? 収益力をもとに、加谷さんに読み解いてもらった。
全国106行のうち、ワースト1位となったのは福島銀行(福島県)。ほかにも福島県からは2行がワースト10入り。また、7位・8位には青森県の地銀がランクインしている。30位までのうち、なんと10行を東北勢が占めるという結果に……。
「人口減少や地場産業の衰退が主な要因になっているのではないでしょうか。例えば、地域経済を活性化させるため、農地を転用し工場などを誘致する自治体もありますが、東北地方は地場産業として農業が盛んな地域が昔から多い。
そのため、新たな産業の誘致に前向きな地域も少なく、銀行も新規の顧客や商圏をなかなか開拓できないことから、経営が危ぶまれるようになった銀行が多いように思われます」