今年、橋田は94歳、小山内は89歳になるということで、話題は「老い」、そして「死」について。
死ぬときまで好きにするなんて図々しい
橋田「本当に老後だなと思ったのは90歳になってから。身体のほうぼうが弱って、肌もシワだらけになって、終わりだなと思いました。だから安楽死のことばかり考えてるの」
小山内「橋田さんは今までさんざん勝手な生き方してきたんだから、そんなこと言っちゃダメよ。私よりも標高の高いところに住んで、視聴率もギャラも高くて、好きに生きてきたのに安楽死だなんて。死ぬときまで好きにするなんて、図々しいわよ」
橋田「でもね、みんなから“なんで安楽死を考えるのか”と言われるんだけど、私は“90歳になったらわかるわよ”と言ってるの。90歳になったら、死と向き合う時間が出てくるんだから。それはどんなに説明したっておわかりにならないでしょう、ほかの方には」
小山内「じゃあ私は、あと1年と少しでわかるのね?」
橋田「わかると思いますよ。でも、あなたは周りに人がいらっしゃるからいいけど、私なんか誰もいないから、どうやってうまく死ぬかってことばかり。ところで私はほうぼうが弱ってるんだけど、あなたは足がお悪いみたいね?」
小山内「'17年にNPOの仕事でカンボジアへ鼻風邪をひいたまま行ってしまって。外は暑くて汗ダラダラ、でも建物の中はキーンと冷えてて、それを繰り返してるうちに本風邪になっちゃって。でも、病院嫌いだからイヤよって布団をかぶって寝ていたんだけど、布団を取ったら……集中治療室に入ってたの」
橋田「えっ、気を失ったの?」
小山内「気がつく人がいなかったら、死んでたでしょうね」
橋田「肺炎になると、戻れなくなる! でも、よかったねぇ」
小山内「ちょっと足が弱ってしまったけど、NPOで作った児童養護施設の『幸せの子どもの家』出身のチャリアという女の子が毎日、病院へ来て面倒を見てくれたの」
橋田「あなた偉いわね。そうやってすばらしい人をひとり、地球上に育てたら、それだけでプラスですよ。そういう人と巡りあえるっていうのも、あなたの人徳なのよ。よく考えたら私、“人間が嫌い”なんだと思うの。
いわゆる人嫌い。あなたは温かいけど、私はすぐ面倒くさくなって“なんでもいい、やめたい!”ばっかり。仕事しても石井(ふく子)さんと会うくらいでね。(私に)生きていてほしいと思ってくれる人もいないし、私が心配する人もいない。本当にこんなに爽やかな人生ありませんよ!」