おつきあいしている時は、真由さんの服装や髪型について何も言わなかった誠一さんですが、彼のご両親に真由さんが会ってからと言うもの、遠回しに言うようになった。それが彼の意見ではなく、母親に言わされていると言うのを感じたそうです。
由美さんは、バストあたりまであるセミロングなのですが、レイヤーを入れてデザインカットをしているので、いつも下ろしたままのスタイルにしていました。
「その髪型似合うんだけれど、外出する時には髪の毛をゴムか何かでまとめた方がいいんじゃないかな。ご飯を食べている時に、髪の毛が料理に入りそうな時があるから」
真由さんは、私に言いました。
「彼のご実家にご挨拶に行ったすぐ後に、これを言われたんですよ。そのほかにも、『スカート丈は、膝上だと短すぎるから膝が隠れるくらいの方がいい』『メイクは自然に見える感じがいいよ』とか、これまで全く言わなかった細かいことにまで口を出してきて」
そのたびに、「そうね」と言って聞き流してきた真由さんですが、堪忍袋の尾が切れる出来事が起こりました。
結婚式は、世間様に恥ずかしくないお式を
「鎌田さんもご存知の通り、ウチの親は離婚しています。私は父の顔を知りません。父とはボツ交渉です。どうも誠一さんのご両親は、ひとり親だと言うのが気に入らなかったみたいなんですね」
先日、誠一さんの実家に、「話があるので来てほしい」と言われて行くと、ご両親からこんなことを提案されたそうです。
「真由さんのご両親が離婚なさったという話は誠一から聞いているんですよ。それで、お父様の顔も知らないそうだけれど、その話は、今後一切ウチの親戚、誠一の友人、会社の人の前ではしないでくださいね。世間体が悪いから。
あと、結婚式にウチは父と母が揃っている。でも、真由さんちはお母様だけ。それだと、最後に新郎新婦と両家の親が並んだ時にバランスが悪いでしょう?」
こういうと、仰天な提案をしてきました。