元気だったころのソトイさんの姿を、近隣住民が記憶していた。
「おばあちゃんは普段から和服を着て、上品な人でした。背筋もピンと伸びて、少し遠いところにあるスーパーまでよく歩いて買い物に行っていましたよ」
と50代の女性。
「ただ、ここ2年ぐらいは姿を見なくなって、どうしたのかなと思っていたんです……」
と付け加える。
昨年夏、ソトイさんを見かけたという70代の女性に話を聞くことができた。
「家の前を通ると“おばあちゃん、草むしりなんかしなくていいのよ”って、(看護師の)お母さんが声をかけていてね。少し話をしたんだけど、脳梗塞で倒れて半身麻痺になっちゃったみたいなんですよ。家で寝たきりだったのかな……」
おばあちゃん子
一家は1994年に引っ越してきた。孫は4人きょうだいだったが、三男以外はすでに独立して家を出ており、運送業に従事していた父親は昨年、他界したという。
容疑者と子どもが同級生だという母親は、
「お母さんは看護師で忙しくされていたから、お子さんの面倒はおばあちゃんが見ていたんですよ。だから(容疑者の)和貴君もおばあちゃん子だったんですけど……」
と証言する。
別の同級生の母親は、
「うちに遊びに来たこともありました。おとなしくてどこにでもいる、ごくごく普通の子でしたよ。可愛らしくてね。
高校を卒業した後は、東京の会社に就職をしたと聞いていましたけど、どんな仕事かまでは……。お母さんの気持ちを考えると、同じ年の子を持つ母親としてつらいです」
と、それ以上の言葉を飲み込んだ。