コンビニ業界や飲食業界に詳しいライターの梅澤聡さんは、コンビニの進化を表す言葉として、ひとつのキーワードを掲げている。
「AIやロボットに任せられる部分は任せて、働く人の負担を減らし、効率を上げるという『省人化』の考えが広がってきています。セブン-イレブンでは日本初の顔認証決済ができる。まさに省人型店舗の代表例です」
顔認証機能が斬新かつ便利
梅澤さんが教えてくれたのは、12月17日にオープンしたばかりの『セブン-イレブン三田国際ビル20F店』。この店を利用できるのは、同ビルに入っているNECグループの社員のみ。NECが顔認証実験とその運営を同時に行っている。
社員の場合は社員証をスキャナーにかざして入店、事前に顔の登録をした従業員は、設置されたカメラの前に立つと顔認証されてドアが開く仕組み。決済方法はセルフ式。客は買いたい商品のバーコードをレジのスキャナーでピッピッと読み取るだけ。あとは顔認証か社員証で個人を特定すればOK。財布は不要で、料金は給料から天引きされる仕組みになっているそうだ。
売り場面積は、26平方メートルとかなりコンパクト。しかし、取り扱い品目はお弁当やサンドイッチ、雑貨など400品目ある。実際に利用しているNECの社員によると、「顔認証がスムーズだし便利で使いやすい」と好評のようだ。
モニター近くのカメラの前に立つと、顔画像から客の年齢・性別を推定し、おすすめの商品を表示してくれるというサービスもおもしろい。
会社が高層ビルにある場合、エレベーターの乗り降りと移動だけで時間がかかってしまう。“ランチ難民”解消にもひと役買えるコンビニといえそうだ。
『セブン&アイHLDGS.』広報センターの戸田雄希さんは言う。
「こうしたコンパクトな省人型店舗は、高層ビルに限らず、例えば敷地の広い病院や工場、テーマパークなどにも向いていると思います」
梅澤さんは、「このように客層を絞ったハイテクな店舗は今後のひとつの流れになるかもしれませんね」と、コンビニの将来を見据えている。