業者に頼んで火葬し、遺骨は現在も自宅にある。
「ひとみのほかにも忽然と姿を消した猫がいる。エアライフルを使うなんて、遊び感覚でハンティングを楽しんでいるようで許せない」(同)
数年間で虐待と思われる事件が9件以上も
さらに2月8日午後5時半ごろ、民間航空記念館の脇で尻から血を流している猫が発見された。首周辺に鉛弾を2発撃ち込まれていたが、一命をとりとめて現在もボランティアに保護されている。
同園にはひとみのような地域猫が約50匹おり、ここ数年間で虐待と思われる事件が少なくとも9件発生している。同園を管理する千葉市美浜公園緑地事務所が説明する。
「'16年3月から7月にかけて、合計5匹の猫の首や尻尾、頭のまわり、背中、足に接着剤のような粘着性物質がかけられる被害が起きています。ドロッとした状態から、固まったものまでありましたが、ボランティアが毛を刈るなどの処置をしてくれました」
昨年9月にはビーチセンターの東屋で猫が吐血し、苦しんでいる姿が発見された。
「すぐ現場に駆けつけましたが、ほどなく死んでしまいました。ボランティアが動物病院で検死してもらったところ、耳のうしろに血の塊があったことがわかりました。死因は不明でしたが、人に蹴られたり殴られたりした可能性もあるそうです」(同事務所)
同11月には事務所裏の防潮堤付近で口から血を流して死んでいる猫が見つかった。
「ボランティアが翌日、埋葬してくださいました。“もともとすんでいたところに帰してあげたい”と、木立の中にお墓があります」(同)
前出の加藤さんによると、その猫も撲殺された疑いがあるという。
「ボランティア関係者から私はそう聞いています。園内にはゴルフのクラブを持ち込んでいる人もいる。植栽の奥にいる猫を探すような不審な男が目撃されており、黒い猫だけを狙っているらしい」
と加藤さん。
また、この2月には園内の電話ボックスのガラスが割られる事案もあり、鉛弾を撃ち込まれた可能性もゼロではないという。
虐待多発を受けて同園は動物虐待禁止の看板を8か所に設置。一連の事件を動物愛護法違反の疑いで調べている千葉県警千葉西署はパトロールを強化しているが、2月27日には同市花見川区の公園で猫が撃たれたという情報もある。市はどう対処していくのか、問い合わせた。
「事件のことは報告が上がって知っています。ただ、うちは動物愛護法にのっとった適正飼養を指導しているところで、地域猫は該当しないので、ポスターを貼るなど地道な啓発活動しかできないのが現状です。とはいえ、市と公園の部署と警察などが連携して取り組むことが必要だと考えております」(千葉市動物保護指導センター)
園内には防犯カメラがひとつもない。設置に踏み切るのもひとつの手だろう。
(フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班)
《PROFILE》
やまさき・のぶあき ◎1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物虐待などさまざまな分野で執筆している。