未解決の“神秘”
《見たい、見たい。今いちばん、生で見たい、芸能人。じっくり、見てみたい》
ある種、これがひとつの答えなのかもしれない。
街を歩いていてすれ違ったら絶対に気づけるはずなのに、たいていの人は出会ったことがない。それでも確かにこの日本で生活し、レストランでドイツ生まれの友人とディナーをしているMatt。
そこにある種の“神秘性”を感じてしまうのではないだろうか。これは写真の加工なのか、それとも何か? と、「じっくり見てみたくなる」のかもしれない。最近はめっきりテレビに出なくなったことも、現在の姿への関心を高めるのに一役買っているのだろう。
また、彼に対するネット上の意見でつきまとうのが“整形疑惑”。これについても本人がたびたび「外国人風メイク」だと完全否定し、疑惑を突っぱねているのも興味をそそる。
もし仮に整形していたとして(事実かどうかは別として)、「僕は整形です」と公表していたら、ここまでネットニュースのアクセス数は伸びていないのではないか。
例えば同じ芸能人の有村藍里は今年の3月に美容整形をしたことを公表。手術の模様がドキュメンタリー番組で特集され、はじめこそネットニュースに大きく取り上げられていたが、いまは「インスタに顔写真をアップした」くらいではどこも記事にしない。
いちど明るみになってしまった事実よりも、あくまで“疑惑”のほうが人を惹きつけるのだろう。“未解決”である限り、Mattに対する世間の興味は持続するのではないか。
ためしにGoogleで「Matt」と入力して検索してみると、さっそく以下のようなサイトが並んでいる。
『Matt(マット)は整形?超絶進化を過去から現在まで画像でチェック』
『Mattの変身が止まらない。美意識のナゾ、整形説を高須克弥院長に聞いてみた』
『桑田真澄、息子Mattが整形やりすぎで話題に!?すっぴんとの差がヤバイ!?現在は?』
やはり、みな「で、実際のところどうなの……?」といった興味で満ち満ちているようだ。私もつい高須院長がどんなジャッジを下しているのか気になってサイトに飛んでしまったが、その回答はなんともいえないものだった。
《本人が明かしてないのに『してる/してない』とは言えないですよ。言えることは『ウチじゃない』ってことだけ(笑)》(『女子SPA!』)
これではますます“神秘性”が増すばかりじゃないか──。
しかし、そんな彼がついに5月24日、『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説 2019春 2時間スぺシャル』(テレビ東京系)で半年ぶりにテレビ出演を果たすことを自身のインスタグラムで報告している。
ある意味、みずからが都市伝説化していたMattを再びテレビで拝むことができる。彼のネットニュースをクリックせずにはいられない“Mattジャンキー”たちはきっとこの日、予定をいれずに直帰するのだろう。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉