噴水広場の真ん前には、作中で『北三陸観光協会』が入っていた旧・久慈駅前デパートがお出迎え。今はテナントも入っていない無人ビルだが、見覚えのある“北の海女”“北三陸鉄道”“潮騒のメモリーズ”の3連看板が、『あまちゃん』の世界へとわれわれを誘う。
「東日本大震災のあった2011年には5000人を割り込んでいた『海女センター』の入場者数が、『あまちゃん』が放送された年にはなんと20万人を突破。番組が終わった今も、夏の海女フェス、秋祭りの時期を中心に5万人を超えるファンのみなさまが来られています」
と、市役所の観光交流課の米内千織さんは当時を振り返りながら、日本人だけでなく海外からのファンも含めた現在も続く人気ぶりについてこう続ける。
「『あまちゃん』は海外でも10か国で放送され、特に親日的な台湾では3回も放送される人気ぶり。地域を訪れるみなさまのために、バスの増便や遊覧船の運行なども行われました」
本物の“じぇじぇじぇ”を堪能
衰えを知らぬ『あまちゃん』効果。でも、放送終了から6年もたっているから……、とその人気に疑心暗鬼になりつつ、足を向けたのは“北限の海女”が暮らすメインロケ地『袖が浜』こと小袖漁港。
宮本信子が演じた夏ばっぱをはじめ、海女さんたちが、『いつでも夢を』を口ずさんでいた小袖漁港は夫婦岩をはじめワイルドな奇岩に囲まれた“北限の海女”の聖地。長い堤防の先には、ヒロインのアキが飛び込んだ白い灯台も見える。
そして、ドラマでも“おかずかおやつかわからない微妙な食べ物”として登場した郷土料理『まめぶ汁』を小袖海女センターで味わう。海女センターで働く本物の海女さんに、思っていたより美味しい、と伝えると─、
「じぇじぇじぇっ! こんなにうまいものになんてこと言うの!」
と、本物の“じぇじぇじぇ”とともにお叱りを受けてしまった。クルミや黒糖を包んだ団子を昆布と煮干しのだしで煮込んだ料理、恐るべし。その海女さんたちに『あまちゃん』人気のことを聞くと、
「今日も朝9時に、台湾からの団体のお客さんが観光バスで来てくれたよ。ロケ地ということでみなさん、楽しんでくれてますね。今はウニのシーズンではないから、おいしいウニを出せないけど、ほかにも海の幸はありますから」
でも、やっぱりおいしいウニが食べたい……。と、そのとき思い出したのがドラマでも人気だった夏ばっぱのうに丼。モデルとなった弁当が、三陸鉄道久慈駅で駅弁として売られていたはず!