虐待場所は「猫が恐怖を感じたときにお尻から放つにおいが残っていた」(宇多代表)ため、浴室とみられる。
事件が報道されると、県内各地から「もしかしたら、いなくなったうちの猫も……」と被害を懸念する声が相次いでいる。
猫好きを装い「悪いことする人おるね」
中古車販売業を営む坂本肇さん(仮名)もそのひとりだ。
昨年の夏ごろから事務所で飼っていた11匹のうち5匹が行方不明になったまま。今年5月には事務所近くで背骨が見えるほど背中を切られた黒猫を見つけ、動物病院に連れて行ったこともある。
「猫がいなくなる前、新村容疑者に似た不審な男を目撃していたんです。数日後、その男が店頭に並べた中古車の下を覗き込んでいたので声をかけたら“猫ちゃんが好きなんです”と言っていました。私が“最近、猫がいなくなる”と話すと、“悪いことする人おるね”って。猫好きに悪い人はいないと思っていたのに……」(坂本さん)
坂本さんはこの男を何度か目撃しており、女性と一緒だったこともあるほか、男性2人と連れ立っていたこともあったという。
新村容疑者は富山市に生まれた。近隣住民によると、両親は容疑者が生まれた直後に離婚し、しつけに厳しい父親とやさしい祖母に育てられたという。地元の私立高校を卒業後、ガソリンスタンドや警備会社などの職を転々とし、約12年前に祖母が亡くなり、約6年前に父親が他界してからは実家の戸建て住宅でひとり暮らしだった。
「おとなしいけれど、ちょっと変わっているので友達はいない」(近所の住民)
孤独ゆえか新村容疑者は親しい人への依存を深めていったようだ。2年前まで親交のあった元同僚の男性が明かす。
「人の好き嫌いが極端。嫌いな人は無視し、好きな人にはしつこい。私の携帯には新村から休みのたびに10件以上の着信が残り、“いま家の前にいる”と電話がくることもあった。いい加減うんざりして関係を絶ちました」