「これ以上はもう、いいんじゃないか」

 自身がヨットから引退するためレースも閉幕となったということか。タモリカップの関係者は、金井氏がいなくなったことも理由のひとつと話す。

金井さんの人柄を気に入って、お金を出してくれる企業や団体が本当に多かった。亡くなった翌年も、引き継いだスタッフがスポンサー集めに奔走したのですが、出してくれてもこれまでの半分の金額だったり、なかなか思うようにはいかなかったみたいです。

 スタッフも、フジテレビのスタッフが“金井さんに頼まれたら断れないよね”というボランティアのような形で協力してくれていたので、彼の死後は離れてしまった人もいました」

 また、第1回からイベントに協力してきた大会プロデューサーの藤木芳幸氏はさらなる舞台裏を明かしてくれた。

「昨年は185艇が参加して、パーティーの参加者は2500人と、本当に大きなヨットレースになりました。レースをやめることは、タモリさんが昨年から話していました。タモリカップは10年間、大きな事故やトラブル、クレームもなくやってこれた。これは奇跡的なこと。

 それでタモリさんが“これ以上は、もういいんじゃないか。このまま何事もなく続くとは思えない。だから、10年のいい区切りにやめよう”と。あとはオリンピックも理由のひとつですね」

 '20年東京五輪の種目でもあるヨット。ここ数年、タモリカップの会場となっている横浜ベイサイドマリーナは試合会場ではないが、五輪関連のイベントが開催されている。

「“オリンピックでマリーナも忙しくなって、迷惑をかけてしまうかもしれないから”ともタモリさんは話していて、やめることになりました。レースをやっている間、タモリさんはヨットにほとんど乗れなかったので、“(大会がなくなった)今年の夏は乗ろうか”と話していますよ(笑)」(藤木氏)

 タモリカップの終了は、彼の名言のひとつである“仕事はテキトーに、遊びは真剣に”の言葉どおり、参加者や協力者を気遣ってのものだった。