休日は飲みながら
国会中継鑑賞が趣味

 現在、30歳。14歳でデビューし、俳優生活17年目を迎えている。

「常に楽しくいたいですけどね。もちろん苦しい作品もたくさんありますし、努力しなきゃいけないのもつらいんですけど、どこかで達成感だったり、この役をやれたんだなっていう嬉びがあれば続けていける。

 稽古場や劇場に行きたくないとか、本番やりたくないとか、やっている間はつらいことがたくさんあっても、その公演が終わったときに、やってよかったなって毎回思えるのって、やっぱり芝居が好きなんだろうなって。これからも、そうであり続けたいなと思いますね」

 俳優としての転機になった作品は、2011年に出演した舞台『愛が殺せとささやいた』とミュージカル『レ・ミゼラブル』だと語る。

「『愛が殺せとささやいた』では、今ではすごく仲よくさせていただいている演出家の岡本貴也さんにぼっこぼこにされました。僕はそれまでふわっと感覚で芝居をやっている感じだったのですが、自分に負荷をかけてやる、その役と向き合う、照明や音響や美術など全体がかみ合っている瞬間をつかむ、そういう感覚をひとつひとつ確認できるようになりました。

 その舞台から意識がちょっとプロ寄りになったかなっていう。まだまだ甘いですけど。『レ・ミゼラブル』は、もうつらかった~(笑)。動きや歌い出しのタイミングなどが全部細かく決まっているので、初めて指揮者を見ながら芝居をしました。でもその経験がなかったら、ミュージカルはやっていなかったと思います

 来年まで舞台出演が続く多忙な日々。プライベートで、いちばんほっとする時間を尋ねると、

「お酒を飲みながらテレビのワイドショー見てるとき(笑)。劇場とか稽古場にいると、世の中から隔離されるんですよ。だから、今世の中で何か起きているのか、世論はどうなっているのかを知るために見ます政治や社会のことに興味があるから国会中継も見ますよ。予算編成の話とかを“こういう考え方の人がいるのか”とか“あの政治家のネクタイ似合ってないな”とか人間観察しながら見てると面白い

 自分の生き方と重なるようで、最近気に入っているのは「積羽沈舟」という言葉だという。

「羽毛のように軽いものも、多く積もれば舟を沈める重さになるという意味なんですけど。なんか僕のキャリアがそうだなと思うんです。まだ舟を沈めるほどではないですけど、これだけ長く続けていることにすごく意味を感じているし。ひとつひとつの作品は、それが小さい作品でも微妙だったなと思う作品でも、無駄なことはひとつもなくて。

 毎回、羽みたいにちっちゃい収穫なんですけどすべてが積み重なって、今の自分になっているんだなっていうのを最近、身に染みて感じるんです。これからもそういう思いを大事に、いろんな顔を見せられるように頑張っていきます

『私に会いに来て』  次々と起こる猟奇的殺人事件の捜査を担当するため、ソウルからエリートの若手キム刑事(藤田玲)が地方の警察署に派遣される。怪しい人物を取り調べていくが、決定的な証拠がつかめず焦りはつのるばかり。そんな中、キム刑事の恋愛、捜査本部の人間模様などが絶妙に盛り込まれたヒューマン・ミステリー。東京公演:9月13日~16日@新国立劇場 小劇場/大阪公演:9月19日~20日@サンケイホールブリーゼ 【公式HP】https://www.watashiniainikite.com/

PROFILE●ふじた・れい●1988年9月6日、東京都出身。TVK『猫のひたいほどワイド』木曜メインMCを担当中。ロックバンド「DUSTZ」のボーカルとしても活躍しており、6/29に下北沢でワンマンライブ、7/29には三浦海岸夏フェス「音霊2019」にも参戦する。今後の舞台は、ライブ・スペクタクル『NARUTO‐ナルト‐』~暁の調べ~(10月~12月)、MANKAI STAGE『A3!』~AUTUMN2020~の出演が控えている。

(取材・文/井ノ口裕子)