そう振り返るのは容疑者宅近くの商店街で働く女性。昔からそこに店を構える商店主は「だいぶ前からです」と小池容疑者が白い服装を愛用し始めた時期を思い出しながら、
「白いシャツは給食センターで着る白衣のような衛生着みたいなもの。それに白いズボン、白い帽子をかぶっていました。身体は大きくて、いつもニコニコしながら自転車に乗っていました。最初は、(そういうユニフォームの勤め先から)昼休みに食事に戻っているのかな、と思っていましたが、あまりにも頻繁に見かけるので仕事をしていないなと思っていました」
念のため、付近にある白い制服を着そうな食品関連会社などに問い合わせてみたが、小池容疑者が在籍していた記録はなかった。
父と子で町内の仕事も
無職ではバツが悪いので労働者風に変装していたのか、変わったセンスなのかはわからない。自転車で近所を徘徊していたともとれるが、
「けっこう遠くで見かけることもありましたね」
と前出・商店主が続ける。
「(自宅から約4キロ離れた)イオンレイクタウンでも見かけました。最近、歩いて10分ほどの南越谷で見かけたのは、夜の8時ごろでした。年がら年中、どこか自転車で走っている感じでした。服装はやっぱり白衣。いつもちょこんと自転車に乗っていました。ただ最近気になっていたのは、自転車のタイヤに空気が入ってなかったことかな。前はちゃんとしていたのに」
一方、季男さんの評判はというと、
「穏やかで、やさしくおとなしい、ひとりでひょうひょうとしているタイプでした」(前出・70代男性)
「以前は毎朝、自転車で仕事に向かっていました。会社員のようでしたが、ポロシャツに綿のズボンというようなラフな格好が多かったと思います」(80代女性)
知人男性に話が聞けた。
「季男さんはおとなしい人でした。近所に高齢者が無料で入れる銭湯があり、そこによく通っていました。自転車で銭湯に行くときや帰りに顔を合わせることがあって、世間話くらいですが、話をすることはありましたね。
昨年か一昨年に小池さんが(町内の)班長になったとき、息子さんと一緒に町内会費の集金をしていたのを見かけたことがあります。広報紙(市報)の配布も息子さんが手伝っていましたよ」
息子同様、父・季男さんも、通勤や銭湯の行き帰りにこいでいたという自転車。
自宅には、父と息子のものとみられる年季の入った自転車が置かれていた。
取材・文/フリーライター山嵜信明と本誌取材班
山嵜信明(やまさき・のぶあき)フリーライター 1959年、佐賀県生まれ。大学卒業後、業界新聞社、編集プロダクションなどを経て、'94年からフリーライター。事件・事故取材を中心にスポーツ、芸能、動物虐待などさまざまな分野で執筆している