本当に周囲を気遣ってくれる方で、“NGを極力出さないようにしよう”“スタッフには少しでも早く帰ってもらおう”“若手にはセリフを積極的にあげよう”といったことを、常日ごろから言っていました。

 シーズン2でも、このことが実践されていないというわけではないんですが、何かが違うという空気が流れていましたね」(前出・テレビ朝日関係者)

 ギスギスした雰囲気が表面化し、スタッフと出演者の関係が悪くなっていく中、寺尾は自身の限界をひそかに感じていたという。

「寺尾さんは、シーズン2の途中から“重圧に耐えられない”と言うようになりました。これまでのような雰囲気なら、まだ頑張れたのかもしれませんが、渡瀬さんの色がすっかりなくなってしまった現場にモチベーションも下がっていたんだと思います」(前出・芸能プロ関係者)

 寺尾のドラマ降板についてテレビ朝日に問い合わせると期日までに返答はなかったが、寺尾の事務所からはこのような回答が届いた。

寺尾は渡瀬さんには生前お世話になっていて、今回は現場に戻ることなく亡くなった渡瀬さんの主役というポジションを継いだ井ノ原さんに力を貸したいと思って仕事を受けました。

 もともと、番組スタッフとの話し合いでは最初から長くやるつもりもありませんでした。現場を見て2年で十分責任は果たしただろうと思って、気持ちよく送り出してもらいました。内紛のために辞めるわけではなく、寺尾が決めたことです

 『特捜9』においての、渡瀬さんの存在の大きさについても聞くと、

渡瀬さんの後任として入りましたが、代わりにはなれなかった。

 10年以上続いているシリーズですから、誰も代わりを務めることができないのは現場の共通認識だったと思います。それだけ存在が大きかったということです」(寺尾の所属事務所)

 次回作が心配になってしまうが、最終話では現場での“雪解け”を感じさせるようなシーンもあった。

「井ノ原さんが犯人を説得する見せ場のシーンがあるのですが、その場面のセリフを彼は新人刑事役の山田裕貴さんに譲ったんです。渡瀬さんがのこした“若手に見せ場をあげよう”という考えが、まさに実践された瞬間でした」(前出・芸能プロ関係者)

 渡瀬さんの思いを受け継ぎたいという気持ちはみんな同じ。“シーズン3”では、また素晴らしいチームワークを見せてくれると信じたい。