記者の質が落ちている
宮迫・亮の会見でもトンチンカンな質問が出てちょっとした騒動となった。
記者ではなく『アッコにおまかせ!』(TBS系)のスタッフが、宮迫が以前起こした不倫騒動の際に「オフホワイト」と発言したことを引き合いに出し、「今のお気持ちは色にたとえると」と質問。これが大顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまい、各方面から非難が集中したのは言うまでもないが、これには番組MCの和田アキ子自身も激怒し謝罪する羽目になった。
このようなあきれた質問が出てくるのにも理由がある。
それはバラエティ色の強い情報番組のスタッフが記者会見に臨んでしまうからだろう。
スタッフが面白い質問をしている様子を番組で流そうと考えてしまうからだろうが、そもそも記者会見は“ウケ”を狙うところではない。また記者が自分の存在をアピールする場所ではないということだ。
ベテランの芸能レポーターの石川敏男氏は宮迫・亮の会見を見てSNSでこう語っていた。
《取材記者の質が落ちてるな、と感じた。中にはスマートで上手というより的確な質問をする優秀な記者もいたが、質問にもなっていない記者という名前だけの奴もいる。(中略)ふたりに説教してどうするのよ。あったことを的確に聞けよ。最低な記者に腹が立ってるよ》
芸能人の不祥事が発覚して、謝罪会見が開かれると、まるで鬼の首を取ったように責めたてる記者もいる。政権の会見時でもそれくらいやってくれよ、と感じている人は多いだろう。
昨年1月の小室哲哉氏の引退会見では、涙ぐみながら氏の引退を惜しむ“ファン目線の発言”をしていた女性記者がいたが、たとえファンだとしても記者としてはどうなのかとはなはだ疑問を感じてしまったのは私だけではない。
会見の内容が全編生中継されるようになって、それまではカットされていたような無意味な、あるいは不適切な質問まですべて世間の目にさらされることになった。
だから今、質問の精度、強いては記者の質を問う声が増えている。記者会見の成否は主催者側の責任だけではなくなったと言えるのではないか。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。