「さくらももこ先生はどこか、まる子っぽいというか、そういう雰囲気をお持ちの方でした。さすがに“あたしゃ”とは言いませんでしたが(笑)。とても小柄だったんです。でも、すごくパワーのある方で、漫画にしてもアニメのシナリオにしても、クオリティーが高い。今、アニメの『ちびまる子ちゃん』のストーリーを作るのに、10人以上のシナリオライターさんがいますが、先生は当初、おひとりで書かれていました。本当にとてつもないパワーとセンスをお持ちだなと、今でも尊敬しています」
そう話すのは1990年に放送が始まったアニメ『ちびまる子ちゃん』を手がけてきた高木淳監督。来年にはアニメ化30周年!! 昨年、急逝された原作者さくらももこ先生への愛を込めて、この夏には『アニメ化30周年記念企画 ちびまる子ちゃん展』も開催される。
永遠に繰り返す1年間
立ち上げ当初は演出助手として、2007年からは監督として長年、まるちゃんに寄り添ってきた監督に話を聞いた。
「アニメは30年続いていますが、まる子は小学3年生の1年間を永遠に繰り返しているんです。1学期、2学期、3学期が終わって4年生になるのではなく、また3年生の1学期が始まる。行事でも、基本的には1度やったことはリセットしません。例えばクリスマスの夜におうちでパーティーをやっている回があるので、違う回でクリスマスの夜にほかのパーティーに出かけることはできないわけです。毎年違う時間帯でストーリーを作らなければいけないので、そのあたりは結構、苦労していますね」
舞台となるのは、さくら先生が過ごした静岡県清水市(現・清水区)の昭和49年という1年間だ。
「その時代を描き続けているので、基本的にまる子の世界観がガラリと変わることはありません。テレビはブラウン管のままですし、携帯が出てくることもない(笑)。変わったことと言えば、お話のテンポが速くなったことですね。視聴者の方はテンポが速いものに見慣れてきていると思うので、そこは時代に合わせて少しずつ変えてきました」
日曜の夕方、テレビで流れる『ちびまる子ちゃん』に癒されてきた大人たちも多いことだろう。
子どもも大人も、みんなが大好きな作品だが、
「監督になった当初は、それはそれはすごいプレッシャーでした。視聴率も取れてて、人気もあって、17年も続いた番組の監督になったわけですから。そのプレッシャーが今もずっと続いている感じです。自分で作ったものがはたしてちゃんとできているか、評価しなくてはならない。その感覚は今も、そして今後も大事にしていきたいです」
この先も、40年、50年と続けてください!
「そうですよね(笑)。頑張って、続けていきたいと思います」