「お前はクズだ!」
一般企業で今、上司が大勢の前で部下にそんな一言を言い放ったら、その瞬間、上司生命は断たれる。
「『お前はクズだ』と罵りました。一人の教員がほかの生徒にも聞こえるような声で」
神妙な声でそう認めるのは、東京・千代田区にある幼少中高一貫教育で知られる名門男子校、暁星の教頭だ。
暴言だけでなく暴力も
“事件”は昨年夏に起こった。教頭が経緯をつまびらかにする。
「昨年7月下旬に、中等部の当時1年生、約160人が長野県で3泊4日の合宿を行いました。その最終日に、研修の一環として近くの農園に昼食をとりに行きました。教員と生徒でBBQをしている最中に、教員が怒鳴りました」
クズと人格否定するには、それ相当の成り行きがあったと思われるが、
「生徒が教諭の指示を聞かなかったから、と聞いています」
と教頭。同じ夏合宿では、教師が生徒の顔面を殴るという“暴行事件”も発生していた。言葉の暴力に体罰とは名門校も地に落ちたものだが、
「はい、その件も承知しています」
と認める教頭は、再発防止策についてこう語る。
「報告を受け、直ちに事実確認をした後、当該教員に対し強く指導し、生徒への対応をあらためるように指示をしました。すみやかに教員内で情報共有し、再発防止を徹底しました。学校としては、このようなことが二度とないように努めているところです」
建学の精神には『キリスト教の理念に基づく教育により、人格の完成をめざすと共に社会の福祉に努める人物を育成する』と謳われているが、育成する側の教師が暴言に暴行では、きちんとした教育ができるのか怪しい。