「刑事ものというと、善か悪か、白か黒かと、ハッキリしているものが多いと思うんですが、今作は少し違っていて。みんなそれぞれに、自分の物差しの中で善悪があって、自分の中にそれぞれ正義を持っている。その正義を、いかに貫くかということが、ひとつの大きなテーマなんです」
振り込め詐欺や還付金詐欺など、一向に被害の減らない特殊詐欺。その犯人を追う刑事と、詐欺に加担する人々を描いたドラマ『サギデカ』で、木村文乃が熱血刑事・今宮夏蓮役で主演を務める。
今はほめ言葉も純粋にうれしい
「普段は“この役はこう”と決めてから臨むんですが、今回は監督が“その場で生まれてくるものを大切にしてください。あとは僕らがなんとかします”と、力強く言ってくださって。その言葉が、涙が出るくらいうれしかったんです」
スタッフ、キャストの熱い思いを背負いながら、正義を貫こうと葛藤する今宮を演じるうえで、特に意識したことは、
「罪を犯してしまう人には絶対に何かしらの理由があることをわかったうえで、今宮は行動していくんです。だから、憎むべき相手が浮き彫りにはなるけど、彼らが100%の悪という描かれ方もされていない。刑事と犯人ではなく、人と人との対峙として表現できていたらいいなと」
役者としての熱い考えを持つ彼女だが、実はこんな言葉についニヤニヤしてしまう一面も……?
「舞台挨拶でファンの方々と直接お話しできる機会があって、すごく久々に“かわいい”って言っていただけて。今の年齢になって、それがとてもうれしかったんです。それをマネージャーさんに伝えたら、監督との食事会の席で話されてしまったんですね(笑)。そうしたら監督が“じゃあ、僕は毎日かわいいと言います!”と、クランクアップの日まで、タイミングが合わず直接お会いすることができなかったときは人づてにでも、毎日言い続けてくださったんです」
ほめ言葉も、20代のころは「純粋に受け止められず、プレッシャーになることも」と話すが、今は考え方にも変化が。
「昔は、自分でルールを勝手に決めて、勝手に息苦しく感じながら生きていたんですが、年齢を重ねて、習い事や、海外に行ったりなどの経験で、たくさんのことを学んで、自然と心が広がってきた気がします。なので、ほめ言葉も純粋にうれしいし、心の栄養になります。明らかに、20代のころの自分よりも、性格が明るくなったなと」
スタイリスト/藤井享子 ヘアメイク/井村曜子(eclat)