「絶対落ちたな、と思いました」
と、話すのは今田美桜。3月31日から始まる連続テレビ小説『あんぱん』でヒロイン・朝田のぶを演じる。
世界一弱くて優しいヒーロー『アンパンマン』の生みの親・やなせたかしさんとその妻・暢さんをモデルとした物語。東京制作としては7年ぶりにオーディションが開催され、3365人の中から選ばれた。
「こんなに味方がいるんだ」
「書類審査、ビデオ審査を経てグループ審査。初対面のみなさんと課題に取り組むのはすごく楽しいんですけど、そのときはダメだろうなと思いました。でも、次のカメラテストに呼ばれたことがすごくうれしくて、悔いなく最後までやりきれました」
合格発表は朝8時に呼ばれたNHKで。『ブギウギ』('23年)が流れるテレビの前で、サプライズ的に聞いたという。
「私は福岡出身で、上京前から(朝ドラの)オーディションを何度か受けていたので、まさか自分が受かるなんて思っていませんでした。合格を聞いたとき、すごくいろんな思いが込み上げて、涙しました。家族も泣いて喜んでくれて。朝ドラヒロインのすごさを改めて実感しました」
今田の朝ドラ出演は『おかえりモネ』('21年)以来2度目。
「ヒロインは清原果耶ちゃんで、“自分より年下の女の子が座長で頑張っているんだ”と刺激を受けました。今回の決定に果耶ちゃんや、今までヒロインをされた何人かの方々からも“頑張ってね”と連絡をいただきました。朝ドラを走り抜けた先輩たちがそうやって声をかけてくれたことで、“こんなにも味方がいるんだ”と心強く思ったのを覚えています」
高知で生まれ育ったのぶは“はちきん”。高知の方言で、男勝りの女性を意味するとおり、元気いっぱい。東京からやってきた内気な少年・柳井嵩(北村匠海)に“うちが守っちゃる!”。明るく素直なのぶは嵩の前を率先して走り、その道を照らし続ける。
撮影は昨年9月、高知ロケから始まった。
「完成作を見たスタッフさんの感想を聞いて、ひとまず安心しました。“このまま変わらず続けていって大丈夫なんだな”と、自分の中で確信に変わりました。とにかく放送が楽しみで仕方がないです」
生きることは楽しいことばかりではない。悩みや葛藤、大切な人との別れ……。そんな傷んだ心に寄り添うのは、幼なじみの存在とフカフカで甘〜いあんぱん。成長したのぶは教師、嵩は絵、それぞれの夢を見つけていく。
「最初は嵩が転校生ということもあって、のぶがどんどん引っ張っていくけど、逆に嵩が守ってくれる瞬間もあって。それはのぶの守り方とはまたちょっと違う、優しい守り方。心優しいふたりは一緒に成長する中で、信頼関係を築いていきます。お互いがお互いを尊敬しているし、守っているし、本当に唯一無二。のぶにしか理解できない嵩もいるし、嵩にしか理解できないのぶもいる。ただ嵩の恋心に、のぶは気づいてない(笑)。嵩を思うと、すごく切ないシーンはいっぱいあります」