のぶと嵩。その関係性について尋ねてみると、

「憧れますね。嵩が絵を描きたい気持ちを初めて伝えたとき、のぶは“うちはわかっちょったよ”。本当に何の濁りもなく、嵩の長所をずっとわかっていて。だからといってすごくすすめるわけでもなく、ただ素直に信じていて、尊敬していて、人間として本当に好き。そんな気持ちがとても伝わってきて。すごく素敵ですよね」

「やっていけるんだろうか?」と思ったことも

 朝ドラのヒロインという大役。さぞハードだろうという想像が膨らむ。

「確かに1日に撮るシーンの多さやスピード感に、最初はびっくりしました。同時に別の週の撮影をするので“これで合っているのかな?”“やっていけるんだろうか?”と思ったこともありました。

 切り替えに不安はありましたが、土日はお休みで。次第にルーティンができてきて、メリハリがついてきました。“めちゃくちゃ大変だろうな”と想像していましたが、そのルーティン化のおかげで“すごく楽しいな”と思っています」

 ストレス発散&息抜きになっているのは好きなものを食べ、お酒を飲み、友達と会う時間だと微笑む。

「やなせさんは“楽しいのがいちばん”とおっしゃっていたそうです。その言葉に共感しますし、それが周りに広がることがいちばんいいなと私も思っています。『あんぱん』もそうなれたら。誰かに寄り添えるような、温かい気持ちをお届けできたらいいなと思っています」

 名作の予感しか、ない――。

流行るか?「たまるか!」

 のぶは高知生まれ&高知育ち。話し言葉は土佐弁だ。

「土佐ことばは可愛らしくて、すごくしゃべるのが楽しみだったんですけど、いざやってみると関西弁でもないし、九州の言葉ともちょっと違って。猛特訓しましたね」

 お気に入りの土佐弁は?

「“〇〇しちゅう”という語尾につける言葉が、可愛いですよね。あと台本を読んでいて、どういう意味だ?と思ったのは“たまるか!”です。“わぁ!”“すごい!”といった意味で、特に朝田家に関しては、たまるか!をすごくいっぱい使っていて。ぜひ流行ってほしいなと思います(笑)」

『あんぱん』今田美桜演じる朝田のぶ役は“ハチキンおのぶ”と呼ばれる
『あんぱん』今田美桜演じる朝田のぶ役は“ハチキンおのぶ”と呼ばれる
【写真】朝ドラ『あんぱん』主演の今田美桜
『あんぱん』3月31日スタート 毎週月〜土、朝8時〜(NHK総合)ほか

撮影/吉岡竜紀 衣装協力/チノ、ガニー 取材・文/池谷百合子