それすら実際に利用される可能性は低い、と森永さん。使い勝手が悪いからだ。

「プレミアム商品券は子育て世帯と住民税の非課税世帯が対象。最大5000円分のおまけつきですが、役所への申請が必要など、とにかく手続きが面倒なんです。対象の半分も使われないのでは?

 またポイント還元も、一般家庭の消費の主戦場である大手スーパーは対象外。実施割合も小さく、ポイント還元の登録申請をした中小の小売店は、8月末で全体の4分の1にすぎない」

 ならば、消費税対策とされる2兆円はいったい何に使われるのか?

「大部分が公共事業費です。本来、公共事業に使われる予算を消費税対策として計上し、ラベルを貼り替えただけのシロモノです」(森永さん)

ポイント還元をお得に使うには?

 経済の先行きが不透明ななか、節約するにも限界がある。庶民としては、少しでも増税のショックをやわらげたいものだ。

「キャッシュレス時のポイント還元は消費者的な視線で言うとお得ですから、しっかり利用するようにしましょう。都市部の人なら交通系ICカード、地方の人ならスマホのQRコード決済が使いやすいのでは?」(あんびるさん)

 増税の痛みは暮らしに直結する。低所得者や高齢者など弱い立場に置かれた人ほど負担は重くのしかかる。そのため消費税だけに限らず「私たちが払った税金がどのように使われているのか、日ごろからしっかり意識することが大切」と、あんびるさんは言う。

「北欧諸国のように学費の負担をなくすなど、弱者や若い世代の負担軽減に使われるなら、みんな増税されても納得して払うのではないでしょうか。なのに、北朝鮮が話し合いの場に入ってきたのに防衛費を増やしてみたり、アメリカからトウモロコシを買ってみたり。 

 なぜそこに税金を使う必要があるのかという説明責任を果たしていません。増税の前にやるべきことをしないで負担だけ押しつけるのは、政治の怠慢です。私たち庶民の側も、税の使い道を見極めながら、自分の思いを選挙の際の投票行動に反映させる。それが今後の自分たちの生活を守ることにつながります」

政府による主な景気対策

・税率8%に据え置く軽減税率の導入
・自動車税を年1000~4500円減税
・住宅ローン減税の期間を3年延長
・低年金者に最大5000円の給付金を支給
・キャッシュレス決済でポイント還元
・低所得者と子育て世帯にプレミアム商品券の配布
・マイナンバーカードに貯めて使う全国共通ポイントの発行