親が子を認めてあげればいい
ところで、杉山さんいわく「子育ては東大受験より大変」とのこと。
「育児は、子どもに合わせて動かなければいけません。自分が何かをしてるときにその手を止めて子どもの世話をしなくてはいけない、というのは、毎日それだけで大きなストレス。
私は、うつ病だったのでストレスには敏感なのですが、ラクをする、サボるというのは、ただでさえストレスのかかる育児でいかに負担を減らすか、ということでもあります。
家事はやらざるをえないことですが、今は助けてくれる家電がたくさん出ていますし、行政のファミリーサポートなど、子育てを支援する制度もあります。
無理せず子育てできるようになるなら、使えるものをうまく活用していくほうがいいのではないでしょうか」
子育てをしていると、外野から「親ならこうすべき」「これをすべきではない」などという声も多く飛んでくる。杉山さんはそうした親を縛りつける“世間の目”にも、もの申す。
「ママ友などと話をしていると、子どもがみんなの輪からはずれることを気にしすぎているようにも感じます。今、何かが飛び抜けていたりする子は発達障害などの名前をつけられやすいということもあり、不安になる親御さんもいらっしゃると思います。
ですが、その部分や能力にフォーカスを当てて伸ばしたことで、大成功した有名人はかなりいるわけで。幼稚園などで「変わった子」扱いされても、親が子を認めてあげればいいのだと思います。
枠からはみ出さず、人と同じであることだけがいいこととは限りません。飛び抜けた部分を伸ばすことが、将来、大きな成功へとつながるかもしれません」
杉山さんはそう結んだ。
ライターは見た!著者の素顔
「“やっちゃダメ”という人も多いのですが、私はゲームで育ってきたので」と言う杉山さん。東大医学部の夫もゲームオタク。「息子が負けると怒るので困ってたんですけど」というオセロの対戦相手を、自分からコンピューターに変えたそう。
「“ママ一緒にやって”と言うようになって。味方になったことですんなりアドバイスでき、本人も上達していきます。
“ママすごい!”みたいな尊敬が生まれたり、どうすればいいか考えさせることで思考力も養える。使い方次第でゲームはすごく便利なツールになると思います」
(取材・文/長谷川英子)
その後、厚生労働省管轄医療財団勤務を経て現在、講演や執筆、医療の啓蒙活動などで活躍中。主な著書に『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』。心理カウンセラー。