ラストホープを見せます
広瀬市長は、いまの教育現場によるいじめ対応を、システムエラーを起こしている状態にたとえる。
「いじめ解決のプログラムにバグがあるなら、微修正しても機能しません。エラーを起こした原因を特定し、作り変えることが必要です。対応の遅れは、教員の資質に問題があるのか、市教委の問題なのか。
ただ、これだけ全国で問題が起き、再現性があるとなると、システムのエラーではないでしょうか」
学校での教師の取り組み、生徒指導に限界があるということだろうか?
「先生の指導が間違ってはいませんが、取り組みに問題があるのです。学校や教育委員会など、教育現場によるアプローチだけにとどまらない新たな仕組み、2本目のプログラムが必要になります」
具体的には、2つのアプローチが求められるという。
「市としてかかわるならば、行政的なアプローチになります。いじめ問題への対応を教育委員会から市長部局へ移し、市が市教委からの報告や通報を受けます。
監査課にはケースワーカーら10人を置きいじめ当事者の児童・生徒と保護者に会うようにします。日常的にマネージメントし、事態の収拾にあたるわけです。必要に応じて、市教委に勧告や指導、調整もします。
さらに問題が長期化した場合、加害者の転校を勧告する。教職員の問題というケースでは、異動を勧告する場合もあるでしょう」
行政的アプローチをしても効果がないこともあるだろう。その場合は、法的アプローチを行う。
「被害者のために弁護士を用意し、刑事告訴や民事訴訟のために対応します。法的アプローチがあるからこそ、その前段階である行政的アプローチの効果が高まるのです」
いじめ問題の新たな取り組みを進める広瀬市長は「子どもたちが普段接する大人は先生や親たちですが、いじめの相談も解決もできない、と周囲の大人に絶望している子どもは少なくない。
寝屋川市の取り組みで、最後の望み、ラストホープを見せます」と、メッセージを寄せた。
子どもたちが安心して学べる場に変われるか、大人たちの本気度が試されている。