「悲惨な顔になっとるから、見んといてほしい……」

 被害者の母は息子の友人にそう告げて、悲しみに暮れていたという。

 その被害者は、福井県坂井市の名勝・東尋坊から転落死した滋賀県東近江市の嶋田友輝さん(20)。東尋坊は若狭湾の波に削られた断崖絶壁が続く絶景ポイントだが、自殺の名所としても知られている。

「暴行している」と通報があった

 しかし今回の事件では、嶋田さんがひとり自ら飛び降りたというわけではなさそうだ……。

 10月19日の朝、嶋田さんは東尋坊の海に浮かんで死亡しているのが発見された。

 同日、滋賀県警は、18日の午前9時から午後6時の間、滋賀県彦根市から100キロ以上離れた福井県坂井市に向かうレンタカーのトランク内に嶋田さんを監禁した容疑で、計7人を逮捕。

 とび職で滋賀県長浜市に住む上田徳人容疑者(39)や、同じとび職や無職の17~19歳の少年6人で、嶋田さんとの面識はあったという。

 大手新聞の社会部記者が次のように説明する。

「17日の深夜、嶋田さんや上田容疑者の知人から“上田容疑者や少年たちが嶋田さんを暴行している”という通報が、彦根署にありました。警察が捜査していたところ、18日の午後10時半ごろ、滋賀県多賀町のサービスエリアで少年らが乗っていたレンタカーを発見して、逮捕したというわけです」

 21日には嶋田さんの死因が判明。脳挫滅だった。

「脳挫滅は生きたまま、およそ20メートルの崖から転落して、岩に頭を強く打ちつけて死亡したことによるもの。また、遺体には複数の打撲痕があって、これは暴行によって残ったものと思われます」(捜査関係者)