「私のだらしなさ、怠慢によってしっかりとした納税をすることができず、本当に申し訳なく思っています」
謝罪会見で深々と頭を下げたのは、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実。地上波、BSなど10本以上のレギュラー番組を持つ超売れっ子芸人が起こしてしまった約1億3800万円に及ぶ巨額の“申告漏れ”。
「徳井さんが'09年に設立した株式会社チューリップが、'18年3月期までの3年間の法人所得約1億1800万円を“申告漏れ”していたんです。さらには'15年3月期までの4年間は旅行代や洋服代など約2000万円の個人的な支出を会社の経費として計上したため“所得隠し”と判断されました」(スポーツ紙記者)
罪に問われる目安は“3億円”
会見から一夜明けて所属事務所の吉本興業は“徳井が謹慎する可能性はない”と発表していたが、
「吉本が徳井本人と税理士に改めて詳細を確認すると、税務署からの再三にわたる督促があったにもかかわらず放置していたことが判明。さらには、株式会社チューリップと徳井個人が'09年から社会保険の加入手続きすら行っていなかったことも発覚しました。この前代未聞のルーズさに、吉本は徳井の芸能活動の自粛を決めました」(同・スポーツ紙記者)
そもそも、なぜ芸能人が会社を設立するのか─。
「徳井さんだけに限らず、数千万円の年収がある芸能人は事務所から“個人事務所を作って節税をしたほうがいい”とすすめられるそう。彼と同じ吉本興業でいえば、明石家さんまさんやロンドンブーツ1号2号の田村淳さん、ココリコの田中直樹さんなど売れっ子はみんな会社を作っています」(芸能プロ関係者)
会社を作って節税をすることは何ら違法性はない。だが会社を持てば、社長である芸能人が税理士に領収書などを渡して税務署に所得を毎年申告して税金を納めなければならない。国民の義務である納税を怠っても罪に問われないのか?『税理士法人・響』の佐々木丈彦税理士はこう話す。
「単純に申告しなかったことが、実際に罪に問われることは少ないんです。悪いことは悪いですが、意図的に隠したり、所得が巨額だったりしなければ、刑事罰に問われることは少ない。罪に問われる所得の目安は、3億円くらいでしょうか。
徳井さんは、個人の確定申告も指摘があるまでしていなかったとのことですが、株式会社チューリップの法人税の申告を適正にしなかったことだけについていえば、この金額ならば刑事罰が科せられない金額と言えます。ただ、個人としても所得税法違反であり、責任は重いです」
納税を免れようとする悪意は本当になかったのか?
「過去に遅れながらも申告し、税務署がウォッチしているので、納税を免れられないのはわかっているはず。税務署からの指摘を受けて、遅れて申告はしたものの、あわせて納めるべき法人税などは納めていなかったため、銀行預金の差し押さえをされたのですが、その理由が手続き怠慢というところが理解できません。
確かに所得額と税額を計算し申告するまでは手間がかかりますが、納付は金融機関に出向くだけです。実は支払能力がなく納税しない場合は犯罪には当たらないのですが、世間一般のイメージでは悪質ととらえられるでしょう。何らかの金銭的な理由があったのかもしれません。金額的に税務署から検察に告発されて罪に問われるレベルではない。“後まわしにしても大したことない”という慢心みたいなものがあったのではないかと」(佐々木税理士)