「仕事で、『動物実験をしている。大量にうさぎが研究室に運ばれてきて血を抜くのだけれど、それには抜き方がある』って言うんですね。そこから細かい説明が始まりました。
私、小学生のころ、家でうさぎを飼っていたことがあったんですよ。寿命や病気で死ぬのではなくて、実験のために殺されるうさぎもいるんだと思ったら、なんだか胸が痛くなってしまった。それに、血の抜き方の話があまりにもリアルで聞くにたえませんでした」
動物実験は、医薬品を開発するためには当たり前に行われていること。それを仕事にしている健治さんにしてみたら、なんの違和感もない日常的な話だったのでしょう。しかし、企業のOLさんで、オフィスの中でのパソコン作業が主な仕事の由美さんにしてみたら、動物実験の話は耳をふさぎたくなる残酷な非日常。
お見合いで初めてあったお相手と、1時間の会話には不適切な内容ですね。
腐った目玉の話をされても(笑)
また、別の会員の佳恵さん(仮名、35歳)は、眼科医の誠一さん(仮名、39歳)と、お見合いをしました。
「お医者さんって、いろいろな患者さんがいるから大変ですよね」と佳恵さんがふると、こんなことをおっしゃったそうです。
「若い人よりも、年配の患者のほうが大変ですね。年をとると人間、頑固になるでしょう? 医者の言うことを聞かなくなる。いま担当しているおばあさんなんだけれど、左目が腐っているんですよ。目玉を取り出しちゃったほうがいいのに、頑として言うことを聞かない。もう中はグチャグチャなのに」
佳恵さんは、ケーキセットで頼んだモンブランの上に乗っていたマロングラッセを食べようとしているときでした。
「なんかフォークに刺したマロングラッセが、取り出した目玉に思えてしまって。食べる気持ちがうせてしまいました」
医師は手術で悪い部位を切除するのは、日常の仕事。そこでいちいち顔をしかめていたり、血を見て貧血を起こしていたりしたら、務まりません。ですが、お見合いの席で、ケーキやお茶を前にして腐った目玉の話をしたら、女性はただただドン引きしてしまいますね。
このお見合いを終えて、佳恵さんは、「私はお医者さんと結婚するには向いていないと思いました」とポツリと言いました。