江戸の味を現代風にアップデート
全編通し、料理に向き合う澪のひたむきな姿、澪の作り出す、おいしそうな料理がたくさん登場する。
撮影で澪が作る料理は黒木自ら調理している。また、『つる家』で客が食べる料理にはこんなエピソードが。
「作り方は当時のものですが、料理監修の柳原先生が味にひと工夫してくださるので、とてもおいしいんです。
何度もテイクするので大量に作るけれど、あまりのおいしさに、撮影後は演者さんたちが召し上がっています。セットの片隅に作った“料理コーナー”では、小日向(文世)さんや安田(成美)さんも、召し上がっていました」
前作の連ドラは、簡素ななかにも旬の食材をおいしくする知恵を絞り、心を込めた日替わり定食のような作りだったという。
「今作はいろんなおかずが詰まった幕の内弁当でしょうか。フタを開けてから食べきるまでお楽しみいただけるものになっています。
“みをつくし”は、澪が大切な人のために料理を作ったり、食べた人が幸せになる様子を描いています。食をモチーフに、生活に喜びを注いでくれる作品です。初めてご覧になる方にも、きっと何かを感じていただけると思っています」
■襖ごし会話の秘密
後編で、澪が襖(ふすま)ごしにあさひ太夫こと、幼なじみの野江と会話するシーンの襖絵には、驚きの秘密が。
「襖絵には、澪と野江が少女時代を過ごした大坂の天神橋が描かれています。よく見ると、澪と野江らしき2人の少女が橋に描かれています。いまだ顔を合わせることのできない野江が、そんな襖絵を眺めて暮らしているところに気持ちが表れている。スタッフ思い入れのひとつです」(山本P)
■澪が可愛い理由
決して派手ではないけれど、なぜか可愛らしく見える澪。その秘訣はこんなところに!
「澪のたすきに注目してください。武家の娘の早帆(佐藤めぐみ)は白いたすきをしていますが、裕福ではない暮らし向きの澪が使っているのは、布の端切れをつなぎ合わせたたすき。それが逆に、地味な着物のアクセントになっているというわけです。たすきはたびたび変わるので、ご注目を。
着物は連ドラの澪は赤系が多かったけれど、3年後の今回は、青地のものが中心です。こちらもお楽しみください」(山本P)