ただ寂しがっていればいいかな

 離婚後、ひとり暮らしを始めた玲子さんはギャンブル依存症に陥ってしまう。

「元夫に教わり初めてパチンコをしたとき、2万円勝ったことを思い出して。やってみると、離婚やDV後遺症のつらさから解放された。勝つと舞い上がり負けることさえ刺激的でした」

 パチンコ台に向かい、玉を目で追っているときだけ寂しさが遠ざかった。だがある日、軍資金をATMで引き出そうとしたら手の震えが止まらない。

「興奮状態で震えていたんです。驚いて、異常かもと思うように。パチンコ自体も負け続け、生活資金が底を尽きかけていました」

 パチンコを断つ方法を周囲に尋ねて回った末、依存症の自助グループにたどり着く。このとき、玲子さんは30代後半になっていた。

「お酒をやめたい人たちの集まりで、飲んでいたときの気持ち、苦しかった体験を依存症の本人同士で分かち合う場所でした。寂しさを埋めたくてお酒にすがるようになったと聞いて、すごく共感できましたね。私にとっては恋愛やギャンブルがそうだったから

 その後、ギャンブル依存症の自助グループにも参加し、自分と向き合う作業に取り組み続けている。

「おかげで何があっても受け入れてもらえる仲間ができました。寂しさは消えないし、男を見る目も相変わらず。でも、どうにもならないものを無理に埋めようとしないで、ただ寂しがっていればいいかな、って」