「私はある日突然、貪欲な独裁者にされました」
日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(65)は日本時間の1月8日午後10時から逃亡先のレバノンで会見を開いた。
2時間半にわたり、自らの潔白や同社の立て直しに貢献してきた旨を主張。逮捕は同社幹部や日本政府の「陰謀」で、ほかにも司法制度の批判など恨み節をぶちまけた。
しかし「日本からの脱出方法は話さない」など口を閉ざす部分も多く、今だにすべてが明らかにはなっていない。
逃亡を手引きした人物の正体は?
「中心的な役割を担ったのはアメリカで民間警備会社を経営していたA氏。米軍の特殊部隊出身で1982年、レバノンに派遣されキリスト教一派の民兵の教官を務めていました。そこで同国とのつながりを作ったとみられます」
と説明するのは軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏。このキリスト教一派にはゴーン被告も所属しているという。
A氏は中東で麻薬捜査に協力したり、イラクやアフガニスタンなど紛争地帯での警備、人質の救出作戦にも携わった経験を持つ人物だ。
「脱出作戦にはほかに英国人ら10〜15人が関わったとみられています。特殊部隊や民間警備会社で培ったネットワークを生かし、A氏が個々に声をかけ集めた」(黒井氏)
作戦の99%が空港探し。最大関門は空港セキュリティーの突破。あたりをつけたら予行練習を繰り返したとみられる。そして東京のホテルでゴーン被告と合流、品川駅から新幹線で大阪へ。関空の近くのホテルで箱に入り、疑われることなく、まんまと逃げた。
キヤノングローバル戦略研究所・宮家邦彦氏は「これは元特殊部隊員だからできた作戦ではない」と話したうえで、
「計画と資金があれば誰でもできます。ただプロに任せたほうが確実。問題は違法だと知りながらやったことです」