「いきなり2人の男性が裏の庭側のフェンスを乗り越えてきたから、最初は泥棒かと思ってね。ところが、玄関のところにも2人の男性と女性が1人いて、“田村さーん”と呼んで部屋に入った。
そのうち、車のトランクも開けて調べていたから、てっきり覚せい剤の捜査じゃないかと。2時間ほどあとに田村さんの手にタオルをかけて連行していったから、びっくりしてね」
1月7日の逮捕劇についてそう語るのは、千葉県野田市の田村純子容疑者が住んでいたアパートの男性。
“私を解雇してください”
直接の逮捕容疑は2013年12月に住友重機械工業(東京・品川区)の労働組合連合会の金5000万円を業務上横領したというもの。
容疑者は'08年から解雇されるまでの10年間で、少なくとも6億4000万円、時効が成立した分を含めると総額10億円余りを着服していたようだ。
「田村容疑者は1982年に同社に入社。すぐに組合出向となって、組合専従の会計担当書記になった。しかし、'18年1月に幹部が交代して会計調査が始まると突然、“私を解雇してください”というメールを残して、失踪しました」(社会部記者)
その後、横領が発覚し今回の逮捕となった。容疑者は埼玉県の杉戸町の実家暮らしだったが、失踪前後は転々としていたようで、昨年10月下旬に野田市の駐車場代込みで6万円弱のアパートに転居してきた。
「台風19号のころ、ボロボロの軽自動車で来てね。アパートの全世帯に“来週から引っ越してきますので、よろしくお願いします”と挨拶して、タオルを配ったんです。甲高い声で明るかったけど、ふだんの服装はジャンパーにジーパン。独身で、顔はスッピン。地味なおばさんという感じでしたよ」(アパートの女性)
冒頭の男性も、
「12月になると、車がトヨタの『レクサス』に替わっていて驚いたよ。先日、ガス会社の人が彼女の部屋のガスを止めに来たけど、“ほとんど使ってないなぁ”って言ってたよ。そういえば、3日に2日は帰ってきていないみたいだったからねぇ」
と、いぶかしがった。