鬼女に直撃! なぜ特定するの?
「報酬もないし完全に趣味です。自分が投下したネタで盛り上がっているのを見るのが快楽なんです」
40代主婦の夏樹さん(仮名)は、「胸糞(むなくそ)の悪いいじめ事件」専門で特定班をしている。
「加害生徒が法律で裁かれないなら私が裁いてやろうと思って」
夏樹さんがいじめ加害者の“特定班”活動をしたのはきっかけがあったという。
「’12年に大津市で中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺した事件がありましたよね。あの事件を知ったとき被害生徒がかわいそうすぎて涙が出ました。それで既婚女性板に加害生徒の家族の情報が出ていたので、実際に現場に行って加害生徒の家を写真に撮ってアップしたりしました。この事件では加害生徒の親も既婚女性板に降臨してさんざん暴言を吐きまくってきていたので、悪いことをしたとはまったく思っていませんね」
調査に集中したいときは「カレー煮込む」
加害生徒の親についての真相は定かではないが、それ以降、夏樹さんの中で「胸糞の悪いいじめ事件」が起きるたびに加害生徒の本名をできる限り調べ、拡散しているという。夏樹さんが調べる際に使用するツールはツイッターが主だという。
「事件についてのワードを検索するとときどき信憑性(しんぴょうせい)のある名前が出てきたりします。その相手にDMを送ることもあるし、つぶやいている人物の周辺を探ったりそこからフェイスブックに飛んだり、ネットのツールを駆使しますね。鬼女板でよく使われる言葉で“カレー煮込む”という言葉があるんですけど、これはカレーを作り置きして夫や子どもに食べさせて、自分はネットに集中するという意味があります。私も実際に集中したい事件があるときはカレー煮込みます(笑)」
加害生徒の名前が人違いだったらどうするのだろうか。
「自分が捕まってもかまいませんよ。罰金払ってすぐ出てこれるし、何より被害生徒の近くにいたのは確かだから加害者には変わりないんじゃないですか?」
と自分の行いが正義だと信じて疑わない様子の夏樹さん。現場にまで行くという行動力や執念には夏樹さんの過去にいじめの被害にあうなどの出来事があったのだろうか。
「いえ、私も私の子どももありがたいことに被害にはあっていません。ただ、許せないというのと暇つぶし。本当に趣味ですね。趣味でいじめ加害生徒に制裁をあたえています(笑)」
と、あっけらかんと答える。前出の渋井さんも、
「彼らの行動に深い意味はないですよ。祭りになるのを楽しんでいる。SNSが普及した現代においては趣味のひとつになっている感覚」
だという。
「少年犯罪の加害者の写真、実名をさらし続けるサイトもありますし、殺人事件の加害者の家族や周辺を追い続ける特定班もいます」(渋井さん)