その手作りの草だんごは、食事と一緒であれば店内で食べられるが、食事をしない場合は持ち帰りのみ。1折り600円で、ビッシリ並んだだんごの上に粒とこし、2種類のあんこがたっぷりとのっていて、お得な気分を感じられる。亮太さんいわく、
「ここのだんごは本物なので、翌日には固くなる。でもそれをお湯で溶いてお汁粉にすると、またうまいんです」
とのこと。まさに1粒で2度おいしい逸品だ。
大事な思い出を振り返る場所
ところで、蛾次郎さんがいまは亡き妻の和子さんと結婚する際、山田監督をはじめ、共演者やスタッフに紹介したのも大和家だった。
「日ごろの礼も兼ねて、みんなに天丼をごちそうして、彼女に勘定を頼んだら、監督に“女に払わせるもんじゃない”とピシャリ。ま、実はオレが払ってんだけれどね。監督ってちゃんと見ているよね、仲人もやってもらいましたよ!」
と感謝の気持ちをのぞかせる。店の壁には、寅さんシリーズの各作品の写真がたくさん飾られている。日に焼けて、中にはほとんど何が写っているか見えないものも。
「もうはずそうかと思うのだけど、お客さんがこの写真を見て、母ちゃんとあそこに旅行した年の作品だ、ばあちゃんが亡くなった年のだって、自分たちの出来事の記念碑みたいに語っているんですよ。だからそのまま」
と、忠雄さん。大和家には、寅さんを愛する人たちの大事な思い出がたくさん詰まっている。