夫:橋口淳(36歳)勤務医(年収1800万円)
妻:橋口理恵(29歳)専業主婦 ☆相談者
長男:橋口陽太(6歳)小学生
夫の不倫相手:木下春香(34歳)同僚医師
「主人のスマホを見てしまいました。すると、私の知らない女性と性的関係を持っていることを初めて知りました」
理恵さんが夫の不倫を疑ったのは、スマホのホーム画面に現れたLINEの通知でした。「愛している」「早く一緒になりたいね」「世界でいちばん大事な人」など甘い言葉のオンパレートが表示されたので、理恵さんはこっそりとスマホのパスワードを解除し、中身を閲覧してしまったそう。
「主人は医師という職業柄、夜も昼もなく働いていたので、父親としての仕事をお願いしたことはなく、ほとんど私ひとりで子育てをしてきました」
と理恵さんは言いますが、ちょうど第二子を身ごもっている最悪のタイミングでした。
不倫の証拠を夫に突きつけると
もともと夫は出張で国内外に出かけることが多いのですが、当時は毎週のように泊まりの出張が続いていたので、理恵さんも「さすがに多すぎるのでは? 本当に仕事なの!?」と首をかしげたのです。理恵さんは限りなく怪しいけれど確証がないという状況に耐えかねて、興信所を依頼してしまったそう。
具体的には、夫が学会の出張で使うホテルで興信所のスタッフが待ち伏せし、夫と女性を尾行し、どの部屋に入るのかを撮影するという段取りでした。後日、スタッフは理恵さんに報告書を渡してくれたそう。
理恵さんが恐る恐る報告書を開くと、そこには夫と女性が「夫の部屋」に入り、3時間が経過し、女性ひとりが部屋から出てくる写真が──理恵さんの予感は的中したのです。そこで理恵さんは夫に対して調査書を突きつけ、「これってどういうこと?」と問い詰めたのです。
ここで1つ目のポイント、「妻との不仲が理由か」が関係します。もし、理恵さん夫婦が不仲だったら、どうでしょうか。夫が不倫の事実を認めた結果、信頼を損ね、夫婦の関係が今以上に悪化して家庭に居場所がなくなると困るので、夫はなんとしても隠し通そうとするでしょう。そして居心地が悪い家庭に嫌気がさして不倫相手へ現実逃避をしたという経緯があれば、夫は理恵さんに対して後ろめたいので、バレたときに動揺の色を見せるはずです。
しかし、理恵さんが夫のスマホを見るまで夫婦関係はいたって良好でした。そのため、夫は理恵さんに対して罪悪感を抱く素振りも見せず、こう言い放ったのです。
「お前のことも彼女のことも好きなんだ。俺は結婚しても恋愛したいタイプ。彼女のことだって特別なことではないんだ」と。
もし、夫が不器用でひとりの女性に100%の気持ちをかける性分なら、不倫相手への愛情を増やせば妻への愛情が減るので、掛け持ちは無理です。さらに、仕事をしながら家庭と不倫を両立させるには時間を捻出(ねんしゅつ)しなければなりませんが、段取りが下手だと「二兎(にと)を追うものは一兎をも得ず」になりかねません。いつも時間に追われてイライラし、周りに当たり散らすような夫なら、ますます不倫相手だけに傾斜していくでしょう。
しかし、夫はマメで器用なので複数の女性を難なく愛せるタイプ。医師という激務の傍ら、時間を作り、妻だけでなく不倫相手を愛するスゴ腕の持ち主。バレても悪びれる様子はなかったようです。
妻である理恵さんを差し置いて、彼女と懇ろになったのは完全な裏切りです。それでも理恵さんが夫を憎み切れなかったのは、不倫相手と同じか、それ以上に愛されていた実感があったからです。