育休中の収入はどうなる?
「その出どころは雇用保険。会社が支給するわけじゃないんです」
育児休業給付金は、育休開始から180日間は月額賃金の67%(上限は月額30万4314円)、それ以降は50%(上限は月額22万7100円)。さらに、育休中は社会保険料(厚生年金保険料+健康保険料)が免除される。
「つまり、180日間は手取り収入の約8割が確保されるので、夫婦で半年ずつ育休を取ると給付金はいちばん多くもらえます」
ただし、上限基準となっている賃金月額45万円を大きく超える月収を得ている人は、ぐんと減ることに。
「現在、政府は月額賃金の80%まで給付金を引き上げ、育休取得前とほぼ同額の手取りを受け取れるようにする案を検討しています」
Q:夫のほうが収入が多い。妻だけ育休でいいのでは?
収入格差があろうとも、夫の育休取得を塚越さんはすすめる。産後ケアの必要性や夫婦で育児をスタートさせる重要性は先述のとおりだが、
「ワンオペ育児が当たり前になってしまうと、妻の職場復帰や再就職へのハードルはぐっと上がります」
妻としては、自分以外の育児の担い手がいれば、子を育てながら働きやすくなる。
「例えば、わが家の場合、妻は第1子出産時は専業主婦でしたが、私が育休を取ったことで就活と保活ができました。第2子、第3子のときも私が育休を取ったことで、妻は派遣社員から直接雇用の契約社員へ、さらには正社員へとステップアップできました」
Q:出世や昇給に響くのでは?
“夫が育休を取ったことで出世に響いた”“昇給が遅れた”なんてことがあったら困るんですが……! ゆえに、育休取得を申し出ることなく、産後に有給休暇を取る“隠れ育休”で乗り切る男性も少なくないという。
「ただ、ファザーリング・ジャパンで実際に育休を取った男性にアンケートを取ってみると、上司からの“評価が下がった”と感じた人は約8%。9割もの人が変わらない、もしくは上がったと答えているんです。
私も初めて育休を取ろうと決めたとき、職場でフルボッコにあう覚悟までしましたが、実際は“あの心配は何だったんだ?”と思うくらい、多くの人が賛成してくれました。育休を終え、職場復帰したのちには管理職にもなりました。実は夫側の心のハードルがいちばん高いんです」