《東京公演の終了後、お伺いする予定でおりました今後の公演について、改めてメンバー全員とスタッフで考え、話し合いました。その結果、現在の国内の状況に鑑み、以下の5公演を中止することといたしました》
3月4日、公式HPにて6日と7日に予定していた大阪公演を含む、全国5公演の中止を発表した『東京事変』。所属事務所の代表として、椎名林檎は大きな決断をくだして見せた。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、各アーティストらによるコンサートやイベントなどの延期・中止が相次ぐなか、2月29日、3月1日にライブを“強行”していた『東京事変』。
名指しこそ避けたものの、『X JAPAN』メンバーのYOSHIKIは、《このタイミングで、コンサートを行う行為、および参加は、危険な行為だと思う》と、ロック界の大御所が再三呼びかける、異例の事態となっていた。
それもそのはず、
「吉村洋文大阪府知事は“ライブハウスでクラスター(集団感染)が生まれている”とし、2月15日、16日に都島(みやこじま)区のライブハウスを訪れたコンサート参加者全員を検査対象とすると発表しました。現在は7人(3月4日時点)の感染が確認されていますが、今後も増えるものと予測されます」(全国紙記者)
大阪公演の会場となるフェスティバルホールのキャパシティは2700人で、2日間で5400人の動員が見込まれていた。件のライブハウスよりも数十倍のリスクをはらみ、近隣の住民はもちろん、勤め人、そして休校中の学生は不安を抱えていた。
「大阪府内の公立高校の入試が3月11日に控えているのです。府は3月3日に、コロナ感染が認められた生徒は、3月21日に追検査を行うことをとりきめましたが、受験に向けて頑張っている生徒たち、また支える保護者も現状に気が気ではないでしょう」(前出・全国紙記者)
当然ながら、今日まで公演中止の措置をとらなかった『東京事変』に対して、SNS上では、
《府民が神経質になっている時に東京事変はライブを決行するのか》
《東京事変のライブは中止するべき》
《大阪に来ないで下さい。迷惑です。非常識です》
《恐怖しかない。東京事変。大阪事変》
と、「大阪に来るな」の大合唱。また、吉村府知事のツイッターにも同様の“中止要請”が続々寄せられる始末。
「知事はそんな府民の声に応えるように、“民間イベントの自粛要請や指示は法的な問題で都道府県ではできない”という旨の説明をし、国に対して措置を求めていました」(前出・全国紙記者)
フェスティバルホールには「決定権なし」
かくいう本誌も、事前にフェスティバルホールに“中止の可能性”を問い合わせていたのだが、
「コンサートやイベントは、主催者様のほうからご連絡いただいたうえで、(HPのスケジュールで)中止として反映させていただいております。(東京事変からは)今のところ(中止という話は)届いておりません」
と、公演の決行か中止か、感染拡大のリスクを高めるかどうかを選択できる立場にあったのは、主催者である『東京事変』、椎名林檎だけだったのだ。
「世論や同業者からの批判は予想以上のものだったのでしょう。まさに四面楚歌。このまま決行を選べば、今後のバンドの存続すら危ぶまれる状況にある、自身も演出に携わる東京五輪・パラ大会にも影響が出かねない、とようやく理解できたのではないでしょうか。あとは東京公演によるクラスター感染が起きないことを願うばかりです」(レコード会社関係者)
まだまだ安心はできない。